書道家、美術家として国際的に活躍し、 旧来の書道界から離れ、独自の感性で「墨アート」という新しいジャンルを切り開き、「水墨の抽象画・墨象」と呼ばれ、海外にもファンが多い。エッセイストとしても知られた篠田桃紅さん(本名:満洲子)が2021年3月1日、老衰のため亡くなった。107歳だった。3日、各メディアが報じた。
2014年には、静岡県沼津市役所の応接室で壁画は篠田桃紅作の『泉』(縦2.5メートル、横7メートルの大作、1966年に新庁舎建設の際に市が120万円で購入)が 見つかった。きっかけは、篠田作品のリストを見た外部の人が市に問い合わせをしたことだった。日差しを避けるためにカーテンを掛けるなどしているうちに、カーテンで覆われたままになり、30年間も誰の目にもとまらずになっていたことが分かった。 その価値について、篠田作品を多く扱っている岐阜現代美術財団の宮崎香里学芸員は、「『泉』は前面に銀箔が貼ってある銀地の上に墨で書かれた作品です。時代とともに銀が変色していって、味わい深い作品になっています。海外でも人気のある方で、取り引き金額が高く推移している作家です。『泉』は市場価値でいうと2000万円以上はします」と説明。
100歳過ぎても個展を開いてベストセラーも出すなど生涯現役を貫いた。「墨はいつも裏切る。思い通りにいかないから面白い」との名言は有名。映画監督の篠田正浩さんは従弟。