ドイツでは、11月から続いているロックダウンが、何度も延期され、まだ解除されない。
コロナ関連の死亡者をハンブルクの大学病院付属の法医学研究所で、735人を解剖の上、検査した。その結果が2月18日に発表された。
今回の発表によれば、そのうちの70人は、家族が解剖を拒否したり、あるいは、解剖のために必要な書類が不備だったりしたため、検査対象から外された。つまり、実際に解剖したのは約615体。コロナ関連の死亡者の年齢層は29歳から100歳で、4分の3は77歳以上だった。平均年齢は83歳。
50歳未満の死亡者は1%で、しかも、その1%の人の全員が、心臓病か血栓症のどちらかを患っていた。調べ始めた早い段階でいろいろなことがわかった。例えば、血液をサラサラにするための抗凝固剤が投与されていたのにもかかわらず、多くの死亡者の肺動脈には血栓が見られた(その知見はすぐに治療法の改善に生かされ、抗凝固剤の投与量が増やされた)。病気には解剖してみなければわからないことは非常に多いという。
つまり、元気だった人でコロナが原因で亡くなった人は、一人もいなかったとの報告がでた。
この735人には、病院で亡くなった人だけでなく、老人ホームや自宅で亡くなった人、また、何かの理由で検死に回された人も含まれる(ハンブルクの人口は、約184万人)。なお、死亡者の55%が男性。735人のうち、新型コロナウイルスに感染はしていたものの、死因はウイルスではなかった人が約50人(7%)いた。
実は、去年の4月、同研究所は、数百体の解剖を終えた時点で、その結果を発表していた。その時に発表された結果も、今回とほとんど変わらず、死亡者は50歳から99歳で、平均年齢が80歳。全員が、少なくとも1つの重い疾病を抱えていた等々。しかし、この報告は、当時、厳しいロックダウンを敷いていた政府の方針とも、毎日、コロナ一色の報道で国民を震え上がらせていたメディアの意向とも合わなかった。
それでも研究チームはその後も執念のように解剖を続けており、その結果、検査数も増え、かなり体系的な知見を発表することができた。ようやく、今度は多くのメディアがこれを報じた。国民のコロナに対する考えが、当時とは変わってきていることもあるかもしれない。イタリアはドイツよりも新規感染者の比率は多いが、レストランはとっくの昔に開いている。ドイツと同じぐらいの感染度の国で、これほど厳しいロックダウンをかけ続けている国は、ヨーロッパには、もうない。
現在は、変異ウイルスの流行が大々的に警告され、州によっては、公園のベンチに座ることも、遊歩道の途中で立ち止まることも禁止という厳しさだ。規則を破ると罰金も取られる。4月までロックダウンを緩和すべきではないという意見の医学者いる。一方で、学校は、教員の簡易コロナ検査を幅広く実施し、なるべく正常な授業体制に戻していく方針という。子どもたちが家に閉じ込められている弊害の方を警告している教育関係者はすでに多い。
ここまでロックダウンが長引いてしまったら、規制が緩和されても生活が正常に戻るまでには長い時間がかかるだろう。
参照:現代ビジネス・川口 マーン 惠美(3/5)
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