2020年12月02日

数の政治の結果、不都合な真実

西村博之『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』三笠書房


2015年、当時の大阪市長だった橋下徹氏は、二重行政のムダを省くことを目的とした大阪都市構想(大阪市を廃止して5つの特別区を設けるというもの)をぶち上げ、民意を問う住民投票を行いました。結果は、投票数のわずか1%ほどの約1万票差で否決されました。

このときの投票傾向には、年代差があったことが話題になりました。産経新聞が行った出口調査によると、20代から50代では賛成が過半数を超えていたものの、60代の51.8%、70歳以上の63.8%が反対に回りました。高齢者は「今の生活を守りたい」という思いが強く、変化を目指す大阪都市構想には反対する人が多かったのでしょう。

2020年11月には再び大阪都市構想の賛否を問う住民選挙が行われましたが、またも否決。産経新聞が行った出口調査によると、10代と30代から50代で賛成が過半数を超えたものの、60代の54.1%、70歳以上の61.3%が反対に回りました。今回は20代の反対も過半数を越えましたが、全体として高齢者層が反対を押し上げたという点は前回の選挙と同様です。

働いて税金を納める層よりも、税金によって社会保障を得ている人たちの意向が反映された政治が行われるということを示されました。
世界における競争力確保や少子化問題など、日本の未来を本気で考えたら、これからを担う若い世代に手厚い政策を施すべきだというのは、誰だって考えることです。でも、選挙の結果はそうはなりません。なぜなら、若い層よりも高齢者層の人口が多いからです。

一生懸命働いて税金を納めている人も、年金で暮らしている人も、選挙では同じように一票を与えらえているからです。
どんなにすばらしい志を持っていても、選挙で勝たなければ、政治家になることはできません。だから、立候補者たちは人口で勝る高齢者の喜ぶ政策を公約に掲げなくてはならないのです。

以前は、衆議院、参議院ともに70%を超えていた投票率は、今では50%前後をうろうろするようになりました。
若い世代を中心に、「自分が1票を投じても何も変わらない」という諦めがあるのだと思います。
こうした傾向に対し、「若い人は選挙にも行かず、文句ばかり言っている」と批判する声があります。

一方で、2016年6月、改正公職選挙法が施行され、ようやく18歳から選挙権が与えられるようになりました。
これで若い世代が真面目に選挙に参加すれば、若者のために動く政治家も現れるようになるだろうと期待している人もいるでしょう。
ただ、残念ながら、そうはなりません。実は、39歳以下の若者全員、投票したとしても、40代以上の40%が投票すればその数を簡単に抜かれてしまうのです。どのみち、若者には勝ち目がないのが選挙であり、その選挙で選ばれた政治家が政策を決めているのが日本なのです。


イギリスのEU離脱を問う国民投票では、高所得者と若者は「残留」を、高齢者と裕福でない層が「離脱」を選んだと言われています。
ここでも、税金をたくさん納めている人たちではなく、社会保障に頼って生きている人たちの意見が尊重されていました。
失業している人たちは「離脱すれば製造業が国内に戻るので雇用が増える」と考えたようです。彼らは、「自分たちで努力、挑戦するという意欲はなく、受動的な期待感で動いています。一方で、たくさん稼いでいる人や若者は、グローバル社会で闘っていく道を選びたかったのに、そうはならなかったのです。

客観的に見て、選挙というのは、国をいい方向へ持っていくとは限りません。選挙が多数決によって集団の意思決定をするものだという原則がある以上、年齢別の人口比などによって、どうしても偏りが出てきてしまいます。高齢化が進む日本で、今後さらに高齢者を優遇する政治家が増えていったらどうなるか…。



これは、若者と高齢者の対立とか、選挙制度の問題を問うているのではない。ITにより、時代が大きく変わった結果、日本が平成の30年間に、国力がトップの座から最下位に落ちてしまった現実がここにあらわれている、と言いたいのだ。そこには、現状を打破しようとする勢力と、現状を維持しようとする勢力のぶつかり合いがある。若者がどんなに危なっかしそうに見えたとしても、本来は、年配者はそれを応援するしかないのに、自らしゃしゃり出て、結局若者をつぶしてしまう人達が多すぎる。

日本一のマーケッターと呼ばれている神田昌典氏は、それを「(年配者は早く第一戦から退き)捨て石になれ!」と言った。
「捨て石」とは、大きな目的を達成するために身を粉にして命がけで働くことを意味した。
明治維新の年配者たちは、皆、自ら捨て石となった。だからこそ、20代や30代の若者が、存分に維新を成し遂げることができたのだ。

今は、まさに日本が再び浮上できるかどうかの、最後のチャンスだ。世界の中でも立ち遅れている、IT化やAI化への道を一挙に逆転できるのは若者しかいない。世の中の変化に対していくつであろうと、現状打破の姿勢を貫く人でありたい。
posted by Nina at 08:12| 千葉 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
カテゴリ
日記(3701)
ニオュ(0)
歴史(0)
chiba(60)