2020年、日本はコロナの最中で、東京オリンピックもインバウンドの波も来なかった。日本はこれから厳しい少子高齢化の時代を乗り越えていかなくてはならない。2025年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となり、2040年には団塊ジュニアが65歳以上の高齢者となる。団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニアの就職氷河期世代が安定した仕事につけなかったことが、未婚率の上昇をもたらし少子化を悪化させ、低収入の中年層を生み出してきた。若者を犠牲にすることは、日本社会の土台を弱らせることになった。
団塊ジュニアが高齢者となるときには現役人口1.5人で一人の高齢者を支えることになる。この1.5人の現役人口が働いて税金や社会保険料を支払って介護保険や医療保険・年金制度を支えるだけでなく、高齢者を直接、介護や看護する人材ともなる必要がある。
現役人口とは15歳から64歳の人のことを指す。だが、2019年のデータを見ると高校卒業時の18歳から働く若者は同級生の18%弱である。高卒後の大学進学率は約55%、専門学校にも約16%が進学している。実は現役人口を20歳から64歳とすると、2040年には1.4人の現役人口で一人の高齢者を支えることになる。
1997年の高校卒業者の就職者は全体の23.5%で、アルバイトも含めた進路不明者は約8%、2007年の高校卒業者の就職した者は約18%であり、アルバイトは約1%、進路不明は5%程度であった。2017年でも就職者は約18%であり、進路不明は5%程度いるものの、アルバイトや正規の雇用でない者は合わせても1%もいない。だが、この正規雇用者の少なさを見ると、多くの者が初職を辞めて、非正規職に転換していると思われる。
仕事と家庭の両立などの問題がないはずの未婚者でも、高卒女性では正規雇用者は半分以下であり、むしろ正規で働く者は減っている。一方、高卒有配偶女性の有業率は40代後半に8割弱のピークを迎えるが、どの年代でも正規雇用者は2割前後で、この20年間ほとんど変化がない。
1997年の高校卒業者の就職者は全体の23.5%で、アルバイトも含めた進路不明者は約8%、2007年の高校卒業者の就職した者は約18%であり、アルバイトは約1%、進路不明は5%程度であった。2017年でも就職者は約18%であり、進路不明は5%程度いるものの、アルバイトや正規の雇用でない者は合わせても1%もいない。
だが、この正規雇用者の少なさを見ると、多くの者が初職を辞めて、非正規職に転換していると思われる。
仕事と家庭の両立などの問題がないはずの未婚者でも、高卒女性では正規雇用者は半分以下であり、むしろ正規で働く者は減っている。一方、高卒有配偶女性の有業率は40代後半に8割弱のピークを迎えるが、どの年代でも正規雇用者は2割前後で、この20年間ほとんど変化がない。
確かに職場の当たりはずれもあり、男女問わず「労働時間が長すぎる」「仕事がきつくて転職した」という者もいる一方で、恵まれた職場で働く者の中には、20代半ばで結婚し、出産と保育所入所の壁も乗り越え、ママさん社員として働く者も出てきていた。ちゃんと仕事があり、出産・育児休業を経ても職場に復帰できる、働き続けることができるという確信があれば、悩むことなく結婚や出産することが可能になる。条件さえ整えば、仕事も子育てもできるという見本を見るようだった。企業の中には長い目で子持ち女性を育成するようになっているところが出てきている、と感じられるようになってきていた。
大卒の未婚女性の場合は、50代になるまで有業率は9割前後であり、正規雇用で働く者も30代までは7割強、そして40代に入ると6割台に下がるが、この傾向も1997・2007・2017年とほとんど変わりがない。同じ未婚女性といっても、高卒か大卒かで大きく雇用状況は異なっている。また、大卒の有配偶女性の場合は大きな変化がみられる。大卒有配偶女性の有業率は1997年から2017年へと大きく上がっていることが分かる。例えば30代前半の有業率は1997年には47%で2007年にはあまり変化が見られなかったが、2017年には68%である。結婚しても働き続ける大卒女性が増えているのだ。
一方、正規雇用率はどうだろうか。これも同じ30代前半で見ると1997年に30%だったのが、2017年には46%となっている。ただ、40代を見ると正規雇用率は30%台であまり差が無くなる。つまり2000年代後半以降に就職し、結婚した若い世代は正規で働き続ける者が増えている。正規雇用であれば育児休業制度などの利用もしやすい。もっとも、これが本当に出産や子育てを乗り越えて働ける状況を実現しているかどうかは、また別のはなしである。
「第15回出生動向基本調査」によると、第1子出産後の妻の就業継続率はかつて4割前後だったものが2010〜14年では53.1%へと上昇したというが、一方で無子の夫婦も増えているだけでなく、未婚率も上がっているという変化もみられる。さらに2017年時点の20代・30代が今後どうなるか、安心して働きながら子どもを産み育てることができるかどうかが、この世代が安心して働きながら子育てできる体制をつくることが、日本の少子化を少しでも押しとどめるカギになる。
しかしながら、コロナ禍によって大卒女性の就職状況も再び暗転している。通常の企業説明会も中止となって、タイミングを逃した少なくない数の学生は今も苦戦中である。本来は3年生も夏のインターンシップで様々な企業を見て、自分の将来を考える経験を積む時期であったが、それもできなかったままである。そして3年生は今の4年生より、就職が厳しくなることを覚悟している。また親の経済状況が悪化し、大学を続けられるかどうかの悩みを抱える者もでてきている。
学生たちには自分の卒業時期は選べない。第2の就職氷河期世代を生まないためにも、何としてでも若者を守り育て自立へいざわなくてはいけない。それは私たちの未来を守ることにもなるのだ。
参照:現代ビジネス(10/2) 甲南大学マネジメント創造学部教授)前田 正子
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