関西圏の企業トップら名だたる名士たちの邸宅が広がる芦屋は、関西随一の高級住宅街だ。海津にいなは、小高い丘陵が六甲山に連なる宮川の流れる地に4年程住んでいた転勤時代があるので、その後、我孫子に越してきて、坂道が多い点で共通点を見出していた。芦屋は、谷崎潤一郎の小説「細雪」の舞台としても知られているだけに、なんだかそれだけで文学と深い繋がりを感じて誇らしかったし、その余韻を探し出すたびに土地柄の良さを納得できる気がしたが、まさか我孫子に転居した時は「手賀沼の湖沼汚染ワーストワン」で誇れるところがないようで残念な気がしたのを覚えている。それも、北千葉導水の導入でワーストワンの地位から脱却して、子どもたちが水辺で遊べる雰囲気になってきたし、昨年はじゃぶじゃぶ池の改修もしたので、コロナ禍が治まれば、いよいよ「新しい日常の中の観光」に力を入れるべきで、他市町村にマケズに準備したい (^^♪。
さてさて、芦屋市の裕福層の所得税、相続税、贈与税の税収は、大阪局管内83署でトップクラスだ。そこで芦屋税務署に加え、多くの富裕層が住むエリアを所管する西宮、豊能両税務署などでは、ここ数年、独自に「署富裕層PT」を立ち上げた。令和元年7月からは、芦屋税務署では、署長をトップとする30人態勢で調査にあたり、富裕層に対する監視の目を強化してきた。
ある国税OBは「『パナマ文書』の流出で資産家や大企業などの課税逃れの実態が明らかになったが、資産隠しは巧妙になっている。当然、海外に資産を移転すれば、国税当局は資産の把握が難しくなる」と指摘する。国税庁では、こうした海外への資産隠しや国際的な租税回避行為に対応するため、高額な資産があると認められる個人、事業主や法人の調査を強化しており、平成26年に東京、名古屋、大阪の3つの国税局に「富裕層プロジェクトチーム(PT)」を設置し、29年には全国税局に広げた。
また、海外に計5千万円超の資産を保有する個人に「国外財産調書」の提出を義務付ける制度の導入や、世界各国の金融口座情報が自動的に交換される「CRS(共通報告基準)」の運用を始めるなど、これまでさまざまな策を講じてきた。
同庁は富裕層の定義について明らかにしていないが、同庁がまとめた富裕層に対する調査結果によると、令和元年6月までの1年間で、全国で763億円(前年比13・9%増)の申告漏れ所得があり、近畿6府県を所管する大阪国税局でも136億円(同61・9%増)と、いずれも現在の統計が始まった平成21年以降で最高となった。
もとより国税当局では、個人所得や相続・贈与された資産、法人所得について部署が異なり、財務省組織規則が定める調査権限も異なる、“縦割り”の組織だった。しかし、PTでは、「所得が高い富裕層は、多くの資産を相続しながら、国外でも保有しているケースが多い」(国税OB)ことから、各部署にまたがる横断的組織に再編。収集した資料などの情報を一元的に管理し、各部署のノウハウを活用しやすい態勢を整えた。
その結果、芦屋税務署では、2年6月までの1年間で、相続、贈与を受けた資産を海外に保有していたり、海外の銀行から得た利子や配当を得ていたりするなどの事実を明確にし、56人に対し所得税約19億円、相続税と贈与税について37件約24億4千万円の申告漏れを指摘。法人税を加えると、合計で申告漏れ額は約44億9千万円となり、追徴額も10億5千万円を超えた。中に隠蔽の案件もあったので、国税OBは「国税当局はこれで終わることなく、引き続き富裕層を重点的に調査していくだろう」と話している。