大坂なおみは、米ウィスコンシンが、州で起きた黒人銃撃問題などを受けて、自身のSNSで抗議の意(英文で)を示すなど、現在アメリカを中心に拡大するブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)の抗議デモを支援している。
父親がハイチ系アメリカ人で、黒人の血を引いており、大阪市出身だが、姉のテニスの訓練もあって3歳の時に一家で渡米。2019年までは日米二重国籍だった22歳の誕生日を迎えるにあたり日本国籍を選択した。母方の祖父は、小樽の漁業長で、かつての住民票は札幌にあった。
大坂はツイッターなどに「私はアスリートである前に、一人の黒人の女性です。私のテニスを見てもらうよりも、今は注目しなければいけない大切な問題がある。相次いで起きている警官による黒人の虐殺を見ていて、腹の底から怒りがわく」などと訴えた(英文で)。大坂選手は「ウエスタン・アンド・サザン・オープン」の女子シングルスの準々決勝に勝利していた8月26日には、試合に出るよりも抗議のボイコットをすると申し出たため、その後、大会主催者は27日の全試合を28日に延期すると発表した。
大坂選手が棄権を表明する前には、米プロバスケットボールNBAが26日に予定されていたプレーオフ3試合の延期を発表した。同州ミルウォーキーに本拠を置くバックスがマジック戦をボイコットしたため。NBAが選手会と協議して決めた。バックスはチームの総意として「これまでも(社会の)変革をものすごく嘆願してきたが、行動に移されなかった。今日はバスケットに集中してはいけない」などと声明を出した。
大リーグでもミルウォーキーを本拠とするブルワーズの試合などが同様の理由で延期になるなどスポーツ界で抗議活動が広がっている。ブルワーズなどは共同声明を出し「重要な問題だと、より注目してもらうために決断した」と説明した。米国で黒人が警察官らの行為によって命を落とす事件が相次ぐなか、こうした大会を通じて人種差別への抗議を続いた。
つづいて、女子全米オープンテニス、大坂選手は決勝戦までの7試合に、警察の暴力などで死亡した黒人犠牲者の名前入りマスクで登場して抗議の意を表した。「被害者全員の名前を書くには7枚のマスクでは足りないことが本当に悲しい。できれば決勝戦まで進み、7枚マスクを見せたいです。」としていた。試合を勝ち進むごとに犠牲者の名前を記したマスクで登場してきた。12日(日本時間13日)の決勝戦、大坂選手は、米ニューヨークの無観客の試合会場。大坂選手は、黒地に白の文字で「TAMIR RICE」と書かれたマスクを着けて登場した。
タミル・ライスさんは2014年11月、オハイオ州の公園でおもちゃの銃で遊んでいたところ通報された、当時12歳の黒人少年。警官は、現場に到着後すぐに発砲。ライスさんは翌日に死亡が確認され、警官は不起訴になった。
優勝し、7枚目のマスクを着用して抗議を貫徹したことに対し、遺族が感謝のメッセージなど、多くの共感をえた。大阪は、それらメッセージを「見返して、たくさん泣きました」などとのエピソードを語るが、最初の全米オープンから暫く振るわない時期があった。一人コートに立ち勝ち抜く、様々なプレッシャーとも戦いながら、メッセージを伝え続けた大坂選手にはSNSなどを介して著名人たちも賞讃の意を示した。勇気ある行動に応援が集まり、それらに支えられ精神的にも、より強くなれたと自身も語る。
現在は著述家としても活躍するバラク・オバマ元大統領夫人、ミシェル・オバマ氏は14日(現地時間)、「あなたのことをとても誇りに思います」と大坂選手に向けてツイートした。2年ぶり2度目の優勝は、心技体に強くなった活躍で最新世界ランキングで9位から3位にランクアップした。男女を通じてアジア初の世界ランキング1位、まさにハイブリッド、日産のCMアンバサダー。いまや世界の女性アスリートの中で最も賞金額が高い。昨年9月16日には、大阪府知事から感動大阪賞、大阪市長から市長特別表彰が贈られている。
出典:www.excite.co.jp(9/10)
朝日新聞(8/27)
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