高齢者の増加により死亡者数が非常に多くなる多死社会形態は、団塊の世代が平均寿命に到達する2040年、年間死亡数が現在の1.5倍である167万人にのぼると推計されています。
多死社会が到来すると、医療保険の財源の膨張するなどさまざまな問題が発生すると予測されています。なかでも深刻な問題として、病院の入院ベッドが不足することによる死亡場所の不足があげられます。厚生労働省によると、2040年には約41万人の看取り場所が足りなくなると推計されています。
つまり、「最期の時を迎えても死ぬ場所がない」”看取り難民”が発生してしまうのです。看取り介護を実施する介護職員のサポートとして、介護ロボットがあります。とくに要介護者の見守りを支援する「見守り支援ロボット」は、夜間帯の介護職員の負担を軽減すると期待されています。今「看取りの場」の選択肢として、介護事業所による看取り介護策がこのような対策強化されているのです。
実際問題として、看取り介護を実施する介護施設が増えてきたことで、看取り介護の問題点も明らかになってきました。問題点のひとつに、介護職員の負担増があげられます。ある調査では、看取りに不慣れな介護職員や、夜間に不安を感じる介護職員への対応が求められています。平成21年度老人保健健康増進等事業「特別養護老人ホームにおける看取り対応に関する調査研究事業報告書」(三菱総合研究所)によれば、精神的負担が「大きい」と回答した介護職員が全体の83%にのぼったと報告されています。今後、夜間帯における看護・介護職員の配置を増強させたり、看取り研修を充実させたりすることが考えられます。
「看取り介護加算」の創設や強化によって、看取り介護を実施する介護施設が増えてきています。「多死社会」と「看取り難民」問題がかんがえられるようになり、平成30年度の介護報酬改定でも、看取りやターミナルケアに関係する加算が強化されることになりました。 特別養護老人ホーム、グループホーム、特定施設入居者生活介護の3つの事業者が看取り算定できます。
参照HP:https://kaigorobot-online.com/news/18