2019年07月08日

「いだてん」は、兎も角走りぬく

 これまでのNHK大河ドラマのワースト記録は12年11月18日に放送された「平清盛」の7・3%で、「いだてん」第16回の7・1%は、これを更新、6月9日(日)放送の第22回「ヴィーナスの誕生」は視聴率が6.7%となって、1963年から始まってこれまで58作放送されてきた中で、ともかく低迷の一途だ。

 そこで時代劇コラムニストのペリー荻野氏が『いだてん』の新規軸を次のように読み解いた。

これまでの大河は歴史の「確認」だった。しかし「いだてん」はそんな味わいを一切捨てて、誰も見たことのない世界を描く。宮藤氏は男性が中心だった大河を女性の手に渡したのだ。主婦のものだった朝ドラを『あまちゃん』で若者の手に渡したように。

ドラマの第一部では、時に主役の金栗らを脇に寄せ、女性たちの生きにくさにも斬り込んでいく。噺の語り手という位置づけの志ん生の結婚話が、「いだてん」の導入パートであるが、ドラマの語り手である志ん生が結婚したり「芸のためなら女も泣かす」話がある。「女子の幸せは結婚と出産」が常識だった当時、金栗の教え子の女学生が靴下を脱いで走っただけで世間から非難される。しかし女学生の「靴下を脱いだくらい何が悪い」との問いに反論できる大人はいない。過去の大河にも自立する女性は出てきた。なぜ世の中が女性にとって生きにくいのかを、これほど詳細に描き、問いかけた日本のドラマは他になかった。

 第2部「ヴィーナス誕生」で日本初の女子五輪選手となった人見絹枝(菅原小春)でした。金栗の教え子である女子学生・村田富江(黒島結菜)が率いる女子たちが立ち上がる清々しいエピソードで、その後半に颯爽と登場した人見で、SNSでは「22回中最高!」という絶賛の声も上がった。にもかかわらず、視聴率という数字が伴わない。第25話(7/7)では、田畑政治が政界の大物、大蔵大臣の高橋是清に選手派遣のための資金援助を直じか談判するエピソードが組み込まれ、是清に扮したのは萩原健一(この放映前に死去)であって迫真の演技が光った。アムステルダム大会では女子陸上が正式種目になり、国内予選を席けんした人見はプレッシャーに押しつぶされ、期待された100メートルで惨敗。五輪に出場の人見は短距離で結果を出せず「このままでは日本に帰れません」と泣いて訴え、800メートル走で見事銀メダルを獲得した。国内で記録を出しても「化け物」と呼ばれ続けた彼女がどんな思いで走ったか、涙なくしては見られない回だった。この五輪では日本男子選手も多くメダルを獲得していたのだが、「いだてん」では人見絹枝一本でみせた。20代での彼女の死も“ナレーション”で紹介。くどくどと最期を見せないのも宮藤官九郎氏らしさだ。

 SNSの評価では「たけしの下手くそな落語の演技を名人芸と変換するのは苦痛。頑張って見ていましたが、もう無理です。」「長年の大河ファンだが、タケシのナレーションが活舌が悪く、聞くに耐えない。嫌になり今回はパス!クドカンも出演者も好きなのに残念。」「大河ドラマにしては見続けたいと思わせる華が無さすぎ。」「キャストがつまんらん。無理。脇役の人々は本当に魅力ある人が多いですが、主役がこれではね。」そして「熊本もんだけど熊本弁の発音がおかしいから見たくない。」などと言うのもある。

 Twitterに「大事なことを忘れている。もう誰もテレビなんか”観ていない”」。視聴率好調の裏番組「イッテQ」、「こんな所に一軒家」のように、どこからでも話が始まり、展開しているどこかを面白く見られればいいが、今や家の中で観覧する芝居のようにTVを見なくなっているのに、1時間を縛り毎週末、TV画面に向かい合わさせることは、難しい条件だ。他にもスマホ、タブレットで無料の動画配信を止めたりつけたり自分の都合に合わせているのに、その時間に見なくてはならない「顔」でも出ていない限り、娯楽が多々ある今、茶の間でじっくり腰を据えて見る人は少なくなったということだろう。 

 それでもハマった視聴者はいるもので、ドラマの伴走者だ。ゴールがどこまでになるか、見当もつかない。
 息が切れても、コケても、参加することには意義がある「いだてん」を最後まで見守り応援しよう! 
 それは、金栗らを応援した嘉納治五郎先生の姿勢と同じだ。
posted by Nina at 00:00| 千葉 🌁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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