2019年05月11日

日本のフードビジネスに学ぶハーバード大生

サンフランシスコ近郊のパロアルト。スタンフォード大学のすぐ近くのショッピングセンターでは、日本のラーメン店が話題になっています。そんな中でレストランをオープンさせるにあたって、「うどん」店を開店したハーバード大学の卒業生もいた。2015年飲食事業に投資するファンドを立ち上げ、在学中にもレストランやバーを次々に開店したリリー・ペン氏(29歳)だ。そこで、取材をすることに・・・・。

「テクノロジーの進化で、多くのビジネスが衰退していますが、飲食業は絶対になくなりません。
これだけデリバリーサービスが普及しても、なぜ私たちは家族や友人とともにレストランに行くのでしょうか。
食事をしながら人と交流するのが楽しいからです。
飲食業とは人と人とを結びつける場を提供するビジネスでもあります。
食べる喜び、人とコミュニケーションする喜びがある限り、このビジネスは持続可能なのです」

「それから、飲食業は仕事の結果がすぐ目に見えてわかる、という点も気に入っています。
IT企業では世の中にインパクトを与えるような大きな仕事に関わっていても、『自分がやったことはどれだけ人の役にたっているのだろうか』と思うことがしばしばでした。結果的にすごいことをやっていても実感がないのです。
ところがレストランでは、新しいメニューを開発したら、お客さんが食べてくれて、おいしいと言ってくれて、それに対してお金を払ってくれる。これはとてもやりがいがあります」

「ハーバードビジネススクールのクラスメートも『私の夢はいつか自分のレストランをオープンさせること』とか『自分好みのバーをオープンさせてみたい』と口々にいいます。ハーバードでは起業を志す人がたくさんいますが、レストランやバーの経営は『小さく始めたい』という人にはうってつけなのです」

「まず、私は日本食の大ファンなので、日本食レストランを経営してみたかった。
次にうどんの奥深さにひかれたことです。
どんな具材を組み合わせても、おいしい。何て多くの可能性のある食べ物なんだろう、と。
本格派のうどんをアメリカ人にも知ってほしい、と思ったので、製めん機や調理器具も全部日本から輸入して、めん作りの過程もお客さんから見えるようにしています」

「今年1月にオープンしたばかりなのですが、パロアルトには『ラーメンは知っていてもうどんは初めて』というお客さんは多いのです。
先日、家族連れが来たのですが、小さい女の子たちが店に入るなり『ラーメンを食べたい!』と言い出して大変でした。
ところがうどんを出してみると、『おいしい』と。こんな感じで少しずつうどんの人気が高まっていくといいなと思っています」

「ハーバードの授業も役に立ってはいますが、どちらかといえば、日本食レストランから直接学んだことが多いです。
日本のレストランには多くの知恵がつまっているなと思います。
日本企業の事例からは、現場で働いている人たち一人ひとりを、一人の人間として大切にすることを学びました。
今、私の最も重要な仕事は働いている人材のマネジメントです。キッチン、ホール、皿洗いなど様々な仕事がありますが、中にはすぐに辞めてしまう人もいます。『家から遠すぎる』とか『もっと時給の高い仕事が見つかった』とか、その理由は様々です。レストランの仕事は肉体的にハードですから、業界平均よりも多めに賃金を支払っていても、『これでは足りない』という人は必ず出てきます。
私自身も人が足りないときは、給仕をすることもあります。そんなに簡単にできる仕事ではないので給料を上げたいですが、経営者としてはやみくもに上げつづけるわけにもいきません。さらに店を増やしていきたいところですが、優秀な人材がなかなか見つからなくて苦労しています。すでに1号店の戦力になっている人たちには、できる限り長く働いてもらいたい。そこで、お金以外のところで、どうやりがいをもって、楽しく働き続けてもらえるかを経営者として日々考えています。今後も定期的に日本を訪れて、日本食レストランから学んでいきたいです」


出典:Nikkei Style 2019/05/03 11:00





posted by Nina at 00:00| 千葉 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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