公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は積立金の市場運用を始めた2001年度以降の累積収益額は56兆6745億円のプラスです。2月1日に、昨年10〜12月期に14兆8039億円の運用損が出たと発表しました。四半期ベースで過去最大の赤字額です。現在の運用資産額は150兆6630億円となっています。GPIFは想定利回りを大幅なプラスで長期計画を立てているため(そうしないと年金が払えなくなるので)、年金の先行きが問題になります。そこで政府-日銀-GPIFが連携を行い運用しています。もし運用する株価が大規模な売りに押され、日経平均1万円割れを起こすような事態になったときは、現在の年間6兆円の買い入れ額を増やす金融政策に変更することが可能です。 (※日銀が企業の大株主になる問題などは置いといて、理屈の上では幾らでも買い上げられます)。
巷で「将来、公的年金という制度自体が破綻するかもしれない」という話も聞きますが、少子化が予想以上に進んだりしても、受け取り額が今より減ることはあっても、ゼロになることはありません。早合点して保険料を支払わずに放置する、ということは考え違いです。そもそも、国民年金から支給される年金は半分を国が負担しています。つまり、保険料を納めた額からもらえる額と同額を国からもらえるということです。
では「心配なく老後を送るには3000万円必要だ」などと言われますが、一概には言えないというのが本当のところです。夫婦2人で都会に住み、ときどきは外食や旅行も楽しみたいという「ゆとりコース」なら、月40万円程度の生活費が必要になるでしょう。これに対して、地価や物価の安い地方都市に住み、自宅でゆったりと過ごすような落ち着いた生活を送りたいという「質素コース」なら、月20万円程度でも十分かと思います。生活費も年金受給額も人によって違います。家族構成や年齢はどうなっているか、持ち家か賃貸なのか、お金が出ていく今後のイベントに何があるか、リフォームがいるのかどうか等々、必要な金額にも差が出てくるのは当然です。
今回の年金平均月額から計算した、家族構成別の1月当たりの支給額をざっくりした目安として、次のまとめにしました。
厚生年金については個人差が大きいと言う点を、考えに入れてください。
国民年金のみの単身者 55,615円
国民年金のみ夫婦2人分 111,230円
厚生年金のみの男性 166,668円
厚生年金のみの女性 103,026円
厚生年金(夫)+国民年金(妻) 222,283円
厚生年金 夫婦共稼ぎ 269,694円
出典HP;https://seniorguide.jp/article/1001439.html
厚生労働省が公開している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」という報告書によると、「年金支給額は、国民年金が平均月額で5万5千円、厚生年金は14万7千円」という実績が公開されています。老齢基礎年金(国民年金)の額は、20歳から60歳になるまでの40年間での保険料を納めた状況により決まります。2017年(平成29)年度の老齢基礎年金の満額は77万9300円ですので、20年間分だけ保険料を納めた場合は半分ということになります。2017(平成29)年8月からは、10年納付があれば老後の年金をもらえることになりました。しかし、4分の1の年金額で暮らしていくのはとても難しいです。
一方、会社勤めの場合は厚生年金は加入期間や報酬によって、中途退職される場合もあって男女差が大きく、男性が「166,668円」、女性が「103,026円」となっています。加入期間及び給料やボーナスの額によって年金額が決定しますが、とても複雑です。そのため、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」を見ることをオススメします。「ねんきん定期便」で、年金額のおおよその目安がわかり、老齢基礎年金の額もわかります。
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