この頃、ジュリー、さんまに代わって、大坂なおみの画像をYOUTUBEでみるのを楽しみにしている。かつての美しきテニス界のエース、ロシア出身のシャラポワにも勝った。最強のなおみは、今、時代の申し子だ。20歳で10億円の契約をアディダスから申し込まれるのも、彼女の価値を物語る額だ。
長身であることが美人やハンサムの要件になってきて、彼女は180pのアスリートとしての鍛え抜かれた身体を持ち、肌が褐色に輝いてみえる。インタビューアーに、試合直後にコメントを求められると、疲れて嫌な時は屈託がなく、米国仕込みのネイティブ英語で、かつ日本人らしいシャイなしぐさで、短く応えて終わりにする。YOUTUBEでの英語コメントも、短いから聞き取りやすいし、ユーモアもなかなかで「なおみ節」と言われ、20歳の若さであり、なにやら可愛いと注目されて、米国のトーク番組にもゲスト出演する。今年の全豪オープン大会前の会見で大坂選手は「今の私の最大の目標は“大人になること”。今の自分は、3歳児のようなものの考え方だから。実は一冊のノートがあるの。毎晩、寝る前にノートにみんなに披露するジョークを書き留めている」と発言。記者からどんなジョークを書いているのか聞かれると、「今のもジョークよ!」と会場を盛り上げた。誰の事も言葉で攻撃することなく、ひょうきん、クールで控えめ、頭がいいという印象だ。
ご家族の仲がとてもいい。ハイチ生まれの映画監督業をする父親はニューヨーク市立大学を卒業のアメリカ国籍で、グランパは根室の先祖代々大金持ちだったと見えるお屋敷に住む漁業長だった。妻の実家である大坂家を選んで、グランパとも上手くコミュニケーションをとっている。なおみの国籍は20歳なので米国と二重国籍だが、選手登録は日本にするよう考えた父親レオナルド・フランソワはクレバーだ。強いことがウリのようになった黒き勝者セリーナとは一味違う、黒人の肌を持つが、ハングリーさではなくて、強い身体能力は同様の要素であるが、たおやかに微笑み、しなやかに応える、なにか米国人にはちょっとない初々しい美しさがある。
体幹が強く、一度の強打で形勢を逆転できるバックハンドも得意。その豪快でパワー溢れるグラウンドストローク、両サイドからウィナーを打つことが出来るのが持ち味だ。サーブも非常に強力で、最速サービス記録歴代10位の201km/h(125マイル)、また様々なスピンサーブも打て、緩急をつけることができる。彼女の凄みを確実に試合で出せるようにしたのが、コーチのサーシャについてからだった。70位前後で低迷するのを理解できない、女子選手が200km/hクラスの高速サーブを打てるパワーがあるなら、黙っていてもトップ30圏内に入れる可能性があると説いて、緊張屋の彼女をリラックスさせて、プレーに自信を与えた。その結果、中南米の最貧国ハイチではテニス選手の人口は少ないので、大坂の活躍は地元メディアが連日大きく報じ、試合も生中継しているという。どこにとっても、彼女のゆかりの地では若い女性の世界的活躍を我がことのように喜びにしている。
安室ちゃんが、十代で活躍してアムラーとして崇められ、多くのファンを得たことで、沖縄は華を持った。日本の周辺ではなく、メッカになった。彼女のひたむきな賢さ、やり遂げる意思、スマートなインタビューのあしらい、若くして自然にできているのは生来の才能というものなのか、のびやかで素敵な十代であり、そのまま40台にいたった。きっと彼女たちには守護神がついている、だからスターなのだろう。
大坂なおみ、昨年9月、全米オープンを日本勢として初めて制覇し、歴史的快挙を成し遂げた。現在、なおみは全豪オープンで準決勝に進み、世界ランクで伊達、錦織圭(日清食品)を超えて、日本人最高の3位以内になることを確定させた。世界ランキング一位に大手をかけるのも春を待たずありそうだ。