口を開けたり閉じたりして噛んで食べるという行為は、脳に酸素を送ったり刺激を与えたりするため、中枢神経を活性化し認知症を予防するといわれます。愛知県在住の65歳以上の健常者を対象に、2003年から4年間かけて行われた調査によると、歯が20本以上残っている人に比べて、歯がなく入れ歯も使っていない人は、認知症になるリスクが1.9倍も高いという結果になっています。
口腔ケアで口の中を清潔にすると、唾液の分泌が促進されます。また、歯ブラシなどで「唾液腺」を刺激することで、唾液腺の働きを活発にし、意図的に分泌量を増やします。唾液には歯や口の粘膜を保護したり、虫歯や歯周病を予防したりする役割があるため、唾液の量を増やすことは口腔ケアにおいて重要なポイントです。
先月、刊行された 岡田弥生著 『シニアのための口腔ケア』 では、
http://nashinokisha.theshop.jp/items/12045956
笑うことも、「いただきま〜す」も口腔ケアだと、新たな視点で歯ばかりでなく、口のなか全体を見直す大切さを教えています。
やがて介護される人、する人に知ってほしい51項目を丁寧に教えてくれます。
ブラシングの原則は「食べたら磨く」が基本ですが、最低でも一日一回は、寝る前に丁寧に磨きましょう。歯磨き粉は原則としては必要ありませんが、使用する場合、小豆大の少量を使用するとさっぱりします。液体歯磨きやデンタルリンスを使うのもいいでしょう。
歯肉炎(歯ぐきの腫れ)の予防には、定期的に歯垢取り、フッ素塗布をするとよいでしょう。舌には舌苔(舌の表面にできる白黄色から褐色の汚れ)が付いてしまうことがあり、そのままにすると細菌の温床になり、口臭の原因になるのでやわらかいブラシや舌ブラシで軽く清掃するといいそうです。通常の歯磨きにプラスして、時折、歯医者で歯石や舌苔のメンテをしてもらうのが最善です。