有力紙ボストン・グローブの論説委員室が呼びかけた、トランプ大統領への報道の自由を訴えは、一斉社説の取り組みになって、同社によると、週刊紙など今後の掲載も含めて400紙以上が賛同しているという。自らに批判的なメディアを「国民の敵(The enemy of the people)」と執拗(しつよう)に攻撃するトランプ米大統領に対抗しようとアピールして、広がりをみせている。
「報道の自由」を共通のテーマとして、各社がそれぞれ書いた。ボストン・グローブ紙は「記者は敵ではない」と題し、「自由な報道機関を国営メディアに置き換えるのが、あらゆる腐敗した政権がまず着手することだ」「米国の偉大さは、権力者に真実を突きつける自由な報道機関に支えられている」などと訴えた。
同紙でオピニオンなどを扱うアイデア部のアレックス・キングスバリー副部長は朝日新聞の取材に、「各社で歩調を合わせて社説を掲げることで、米国民に対して『民主主義にとって報道の自由は大切だ』と伝えたかった」と語った。他社からの反響は大きいという。「米国の記者の多くが、メディアを敵と位置づける大統領の言動を強く警戒していることを示した」
今回の取り組みには、地方の主要紙であるダラス・モーニング・ニュース、デンバー・ポストなどのほか、小規模な新聞も多く加わった。賛同したニューヨーク・タイムズは、「気に入らない事実を『フェイク(偽)ニュース』とするのは民主主義の源泉を脅かす。記者を『国民の敵』と呼ぶのは危険の一言に尽きる」などと記した。
新聞各社のアピールを、米政界も後押しした。米上院は16日、「報道機関は国民の敵ではない」などとする決議を、与野党問わず全会一致で採択した。
同日明らかにした米朝首脳会談に対する立場を「今日の結果が出るまで、関心と愛情を示してくれた世界各国の指導者たちにも感謝の気持ちを伝える」ことで締めくくっただった。