山口県周防(すおう)大島町で12日から行方不明になっていた、2歳になったばかりの藤本理稀(よしき)ちゃん)が15日早朝6時半ごろ、同町家房の曽祖父宅付近から数百メートル北東の山中で発見、保護された。
県警によると、理稀ちゃんは脱水症状がみられるが、目立った外傷はみられず、理稀ちゃんは母親(37)や祖母らと面会し、受け答えもできていたという。
親から離れて飲まず食わず、夜中には真っ暗になるのもへこたれず、泣きぬれて脱水症状という最悪のケースが避けられ3日目を無事に親元に戻ることができた。
県警柳井署が山口県周防大島町役場を通じて行方不明の通報を受けたのは12日午前11時半。90人態勢で、理稀ちゃんが最後に目撃された曽祖父宅近くを中心に捜索。140人態勢を組んだ13日は、ため池や側溝、古井戸、空き家などに重点を置いた。ヘリコプターや、体温を感知するセンサーが付いたドローンを使い、上空からも捜した。町内の公共放送での呼びかけも利用されて、母親の申し出で「よっちゃーん、早く出てきて、お母さん待ってるよー」と何度も必至で呼びかけを続ける、母親の憔悴感も周囲に痛々しく伝わってきた。しかし、14日になって、集落の周囲のすべての山を捜索範囲に加え、数十人ずつの捜索班に山を割り振ったものの、発見現場の一帯も捜したが、手がかりは得られなかったという。
15日早朝からボランティアで捜索に加わっていた大分県の70代の男性が、理稀ちゃんの名前を連呼しながら山中を分け入っていくと「ぼく、ここー」と返事があった。男性は、もと鮮魚店を営み、売り声が通す気合がちがったのか、ボランティアの熱意と経験から、山の上に向けて声を上げながら山中に入ると、ほどなく理稀ちゃんの反応が耳に入ったのだという。沢の近くでしゃがんでいたといい、男性が用意してきたあめ玉をあげると、かみ砕くように3つを食べたという。抱っこしようかというと頷くので、男性は理稀ちゃんを持参していたバスタオルにくるんで山を下り、途中で警察官と合流して、曽祖父宅に送り届けた。
柳井署の道下斉亮副署長は、理稀ちゃんの年齢を考え、まずは近くの井戸など事故に巻き込まれそうな場所を中心に捜索したと説明。山中も捜したが「かなり広大で、すべての場所を綿密に見ることができたかは分からない」といい、「『一刻も早く見つけてあげたい』という一心で捜したが、結果的に見つけることができなかったのは残念」と話した。
理稀ちゃんは12日午前10時半ごろ、祖父(66)と兄(3)と歩いて約400メートル離れた海岸に海水浴に向かったが、家を出て100メートルほどのところで、「帰る」などと言って、1人で家に戻ろうとしたという。
参照:朝日新聞8/15