東京医科大学をめぐって、私立大学の支援事業の選定で、文部科学省の前局長から便宜を図ってもらう見返りに、受験した前局長の息子を不正に合格させたとして、理事長だった臼井正彦被告(77)らが贈賄の罪で東京地検特捜部に在宅起訴されています。前局長の息子はことしの医学部医学科の一般入試を受験していましたが、一方で大学側が女子の受験者の点数に係数を掛けて一律に減点し、女子の合格者の数を抑えていたことが関係者への取材でわかりました。
関係者によりますと、こうした点数操作は、平成22年に合格者の女性の割合が男子を超えたことをきっかけに始まって、3割に抑えていたということですが、入試の募集要項には男女の定員に関する記載はなく受験者側には一切知らされていませんでした。
NHKの取材に対し、大学関係者の1人は「女子は結婚や出産で医師を辞めたり休職したりするケースが多く、大学病院の態勢を維持できないという危機感があった」と話しています。
ことしの医学部医学科の一般入試は、男女合わせて2614人が受験し、171人が合格しましたが、合格率は男子の8.8%に対し女子は2.9%にとどまっていました。
東京医科大学は「現時点で点数操作については把握していない。一連の不正については内部調査で事実関係を確認し、今月上旬をめどに結果を公表したい」としています。
大学関係者によりますと、東京医科大学では平成23年から女子の得点を一律に減点するようになったということです。その理由について、大学の関係者は「女性の医師は、出産で仕事を休んだり、子育てで急な出勤や長時間の勤務が難しくなることがあり、男性医師を多めに確保できないと人手が足りなくなり、病院の運営に支障を来すおそれが出るため、女子の合格者数を抑えることになった」などと話しています。
文部科学省は毎年、各大学に入試の基本方針を示した実施要項を通知し、入試が公正に行われるよう求めています。
そこでは、大学がどういう観点で選抜を行うか受験者にわかるよう明示することが必要だとしています。
今回の東京医科大学のケースについて、文部科学省は事実関係を把握していないとしたうえで、「どういう選抜を行うかは、募集要項などに明示し公にすることが重要だ。今回のように募集要項になにも示さず、男女の性差を理由に操作していたとすれば不当だ」と話しています。
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