1958年、大阪・池田市の自宅裏庭に建てた小屋で、“お湯があれば、家庭ですぐ食べられるラーメン”を作り出した。開発したのは安藤百福。1日平均4時間という短い睡眠時間で丸1年間、1日の休みもなく、たった1人で研究を続けました。さまざまな試行錯誤の末に誕生した「チキンラーメン」は《魔法のラーメン》と評判になり、またたく間に爆発的な人気を集めました。
アメリカへ視察に出かけた時、スーパーの担当者たちが、「チキンラーメン」を小さく割ってカップに入れ、お湯を注いでフォークで食べていました。百福は、これを見逃しませんでした。インスタントラーメンを世界に広めたいと考え、食習慣の壁を超えることにあると考えつくと、様々な知恵と革新的な発想を結集した「カップヌードル」を誕生させました。こうして日本で生まれたインスタントラーメンが、1971には「世界食」に生まれ変わりました。
安藤百福が、次に抱いた夢は「宇宙食を開発したい」でした。その実現にむけて、宇宙食ラーメン「スペース・ラム」開発が始まった。無重力状態で食べるための様々な工夫が加えられた一方で、その基礎となったのは、1958年に自らが発明した技術「瞬間油熱乾燥法」でした。安藤の創造的思考は、2005年に宇宙空間で、人類の“食”を支えることになったのです。
96年間の生涯を通じて持ち続けたのは、 「クリエイティブな発想」と「最後まであきらめない執念」でした。
日清食品(株)の代表取締役社長、会長を務めるとともに、(社)日本即席食品工業協会会長、世界ラーメン協会会長として業界の発展に努めました。1983年、私財を投じて(財)安藤スポーツ・食文化振興財団を設立し、青少年の健全な育成にも力を注ぎました。