2月は、28日で最後となる。明日から3月、春めく卒入学のシーズンへ向かう。
2018年の第196回国会に上程が見込まれ審議がされる8本の労働法改正案が出ている。 そこで厚労省が、裁量労働制で働く人の方が一般労働者よりも労働時間が短い――と示したデータに疑義が生じ、安倍首相はデータを巡る国会答弁の撤回と陳謝を余儀なくされた。 2月28日夜まで続いた審議で、安倍首相は「今回提出する働き方改革法案の中において、裁量労働制については、全面削除するよう指示した」と述べた。
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安倍や加藤勝信厚労相が答弁の根拠にしてきたのが、2013年度の「労働時間等総合実態調査」のデータだ。予算委で質問に立った立憲民主の逢坂誠二議員が、この調査以外のデータの有無を質問すると、厚労省の山越敬一労働基準局長は「そういったデータは持ち合わせていない」と答弁。さらに逢坂議員が「(裁量労働制と一般労働者を)同じ条件で比較したのか」と問うと、山越局長は「限られたデータの中で調査した」などと不明瞭な答弁。根拠データがひとつしかない上、比較対象の前提条件が異なれば、恣意的な数値を導き出すことになりかねず、国の重要政策を決める厚労省が釈明に大わらわだ。そのデータを基に「働き方改革」関連法案を「おおむね妥当」と加藤に答申した、厚労省の労働政策審議会(労政審)の判断にも疑問が湧くことになる。一体、何を議論していたのか議事録を確認したところ、労働者代表の委員が裁量労働制は時短どころか長時間労働を招く――と懸念し、具体的な反証データを示していたのだ。例えば、昨年9月4日の労政審労働条件分科会。労働者代表の委員はこう説明していた。
〈2015年4月から5月にかけて、ITエンジニアの労働条件、裁量労働制の実態調査をさせていただきました。調査の母数としては1066人の方から頂いておりまして、このうち200人ぐらいが裁量労働制の適用になっている。労働時間に関しては、裁量労働制が適用されている方のほうが、適用されていない方に比べて労働時間がやはり長くなっているという傾向があります〉
〈特に納期前など、忙しい時期の1日の労働時間を比較しますと、12時間及び13時間以上の割合が非適用者に比べて約10ポイント高くなっているという調査結果が出ています〉
〈業務量に関してですが、(略)法定労働時間を優に超える業務量であると答えている人が38%ほどいる。裁量労働制の対象業務拡大はもとより、現状の裁量労働制における労働時間の実態については、昨今過労死の現状など見ると少し危機感を覚えざるを得ないと考えております〉
そして、労働者代表の委員はこうも言っていた。
〈労働災害ということで見ると、みなし労働時間制ということで労働時間の実態把握が難しく、労災の申請も難しいということが、弁護士の方々からの意見として出てきたように聞いております〉
現行の裁量労働制適用者でさえ、長時間で使われ、労災申請もままならない現実があるのだ。首相は「このデータに依拠して法案を作っているわけではない」と強調した。また「裁量労働制により労働時間が長くなり得ることも認識しているからこそ、(医師の面接指導など)健康確保措置も設ける」などと理解を求めた。
問題となっているのは「平成25年度労働時間等総合実態調査」で、厚労省は調査票の原本と打ち込んだデータを照合する検証作業を進め、与党は27日中の予算案の衆院通過を描くが、野党は反発していた。そこで、安倍首相は国会に提出する予定の働き方改革関連法案から、裁量労働制の対象拡大の部分を削除、裁量労働制について、「厚生労働省で実態を把握したうえで、議論し直す」と伝えた。
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一方、2018年度予算案は、28日夜の衆議院本会議で、与党の賛成多数で可決され、参議院に送られた。 予算案は、憲法の規定により、年度内の成立が確定した。今回の税制改正では、国際観光旅客税(仮称)の創設がされることになる。平成31年1月7日以後の出国旅客に定額・一律(1,000円)の負担を求めるものだ。また、外国人旅行者向け消費税免税制度の利便性向上のため、一定の条件の下、「一般物品」と「消耗品」の合計金額が5,000円以上となる場合も免税販売の対象とすることになる。両者とも、観光振興につながる税制改正だ。