千葉県浦安市は東日本大震災によって液状化の多大な被害を蒙り、転居者が続出していた時期があった。
そこで少子化対策と銘打って女性市民を対象に、順天堂大学浦安病院(同市)の未受精の卵子の凍結保存への助成を行ってきた。予定していた30人の枠に達したこともあり、今年度で終了することがわかった。
事業は自治体が卵子凍結保存を支援する初の試みで、市は「将来に産みたい人への選択肢を増やせれば」と、2015年度に助成を始めた。対象は市内に住む20〜34歳の女性。採卵のリスクなどについての説明会への参加を条件として、3年間で30人を目標に計9千万円を同病院に助成。卵子を凍結した女性は3年間の管理費約30万円が免除されるなど、自己負担が約3割ですむ。
この事業を巡っては、日本産科婦人科学会の委員会が治療目的でないのに採卵のための負担を課すことになるとして、健康な女性には「推奨しない」との見解をまとめるなど話題となった。
病院によると、29人が、仕事の都合(14人)▽生殖機能低下の恐れがある病気など(9人)▽配偶者や交際相手の海外出張(6人)――を理由に卵子を凍結した。今のところ、体内に戻す意向を示した人はいないという。
同病院は今後も凍結保存の研究を続ける方針。凍結から4年目以降は自己負担が生じるが、同病院は助成が切れた後も、凍結した人に対し、保存の継続や体外受精などの意向の確認を続けるという。市の担当者は予定通り3年で終える理由について、「市民に出産適齢期を考えてもらうきっかけにもなった」と説明している。
参照:朝日新聞2/8(木)