陸上自衛隊のヘリコプターが佐賀県の住宅に墜落したのは、佐賀県の目達原駐屯地(吉野ケ里町)所属のAH64D戦闘ヘリ。同県では、佐賀空港に陸自が導入する輸送機オスプレイを配備する計画が進められているが、今回の事故で、住宅地に衝撃音、火柱を見て、自衛隊機への住民の不安が高まるのは避けられない。配備計画に影響が出る可能性もある。
大惨事なだけに、基地周辺の住民は不安を募らせ、防衛省に衝撃が走った。整備後の点検飛行中に墜落したとみられ、ヘリに搭乗していた自衛隊員1人の死亡が確認されたが、もう1人は22時現在も捜索中。今回の墜落事故現場は、JR神埼駅から南約4キロの、農地に囲まれた住宅密集地近だ。また近くには小学校や保育園などの施設もあり、墜落地点が少し違えば、大勢の子供を巻き込んだ大惨事になった可能性も考えられる。またこのような市街地が、普段から自衛隊の訓練飛行ルートになっていたとすれば、それ自体が問題だ。ある防衛省幹部は「安全面で自衛隊機の信頼性が問われる。整備状況を含め徹底した検証と事故原因究明が必要だ」と厳しい口調で語った。
小野寺五典防衛相は5日夜、事故を受けて「民家に墜落したことを重く受け止め、おわび申し上げる」「地域の皆さまに大変ご心配をお掛けし、誠に申し訳なく思っている」と謝罪し、頭を下げた。事故で女子児童が軽傷を負ったことについても、「怖い思いをさせてしまった」と陳謝した。同省が自衛隊のヘリ全機種の点検を指示したことからも、事態の深刻さがうかがえる。
自衛隊関係者は「飛行中にトラブルが発生すれば基地に戻るか、住宅地を避けて予防着陸する。今回はトラブルで機体を制御できなかったり、住宅地を回避する間もなかったりしたのではないか」と指摘した。機体は回転しながら落下したとの目撃証言もあり、飛行中にローターなどの部品が落下した可能性もある。
米軍機の事故が多発する沖縄では、4日に名護市の市長選挙は4日に投票が行われ、自民・公明両党などが推薦し、地域経済の活性化を前面に掲げた新人の渡具知武豊氏が、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設阻止を訴えた現職を破って、初めての当選を果たしたところだった。
▽渡具知武豊(無所属・新)当選、2万389票
▽稲嶺進(無所属・現)1万6931票
自民党、公明党、日本維新の会が推薦する新人で元市議会議員の渡具知氏が、民進党、共産党、自由党、社民党、地域政党の沖縄社会大衆党が推薦し、立憲民主党が支持する現職の稲嶺氏を破って、初めての当選を果たした。渡具知氏は名護市出身の56歳。20年近く市議会議員を務め、今回初めて市長選挙に立候補だった。
アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設に向け、護岸工事が進む中で行われた今回の選挙戦で、渡具知氏は、移設問題の賛否には直接言及せず、前回自主投票だった公明党の推薦も受けて、地域経済の活性化を前面に掲げた。その結果、自民党や公明党の支持層を固めたほか、いわゆる無党派層からも一定の支持を集め、初めての当選を果たした。
一方、辺野古への移設阻止を訴えた現職の稲嶺氏は、沖縄県の翁長知事の支援を受けて3期目を目指したが、及ばなかった。
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