ご著書がベストセラーになるなど、多方面でご活躍された渡辺和子シスターも、幼き日に遭遇した2・26事件にて最愛の父親を目の前で失い、母親との精神的な軋轢を抱え、信仰を持ってからもうつ病になるなど、壮絶な人生を過ごしてきました。しかしながら、「こんなはずではなかった」人生に、一つ一つ向き合い、真摯に受け止めてきた、渡辺和子シスターだからこそのお言葉が、穏やかで温かい愛情と輝きをもって、胸に迫ってくるのです。
渡辺和子シスターが語る美しい人生の実らせ方 9つのヒント
ヒント1 「の」の字で相手を受け入れる。
例えば、夫が会社から戻ってきて、「ああ今日は疲れた」と言った時に、知らん顔してその言葉を聞き流したり、「私だって、一日結構忙しかったのよ」と自己主張したのでは、二人の間はうまくゆきません。その時に、「ああそう、疲れたの」と、相手の気持ちをそのまま受け入れてあげることが大切なのです。
ヒント 2 時間の使い方は命の使い方。
この世の中には「雑用」というものはなく、私たちが用を雑にした時に、「雑用」が生まれます。ぞんざいな時間を使うと、ぞんざいな人生が残ります。丁寧な時間を使うと、丁寧な人生が残ります。愛のこもった時間、そして憎しみのこもった時間。それはそれぞれの人生を、変わったものにしていくと思います。
ヒント 3 求めるよりも与えるのが本当の愛。
例えば日常の挨拶。相手の方に期待した“欲しいな”と思うものがもらえなかった時、それは一つの損をしたわけです。けれども 、シングルに損を終わらせないで、もう一つ損をする。つまり、あちらが挨拶くださらなくても、むしろこちらのほうから差し上げる。それでは「ダブルの損」のようなのですが、この「ダブルの損」をして初めて愛が生まれ、主体性が保たれるのです。「求めるよりも与えるのが本当の愛」ということです。
ヒント4 人生の穴の真意。
思いがけない悲しみ、苦しみという「穴」が空いたからこそ、見えるものがあると思うのです。
ヒント5 ほほえみで幸せに。
ほほえみは、お金も時間もかからず、相手を幸せにする力がございます。
ヒント6 年をとらないための「3つの化粧品」。
1. いつもにっこり笑うこと。
2. 人の身になって思うこと。
3. 自分の顔を恥じないこと。
この「3つの化粧品」は、お金がいらない、使っても減らない、使えば使うほど質がよくなる、どこへでも持っていける。そして、アンチエイジング、つまり、年をとらないために、とても大事な「化粧品」だと思います。
ヒント7 エレベーターの「閉」のボタンを押さない。
エレベーターのドアは、「閉」のボタンを押さなくても閉まるものです。閉まるまでにかかる時間は四秒でした。その四秒が待てるか、待てないか。私は決心をいたしまして、待てる自分になろうと思いました。
「なぜ、そんなちょっとした時間にこだわるのですか?」とおっしゃる方もありますが、時間にこだわっているのではなくて、四秒すら待てない自分になること、いつもイライラ、せかせかしている自分になることが怖かったのです。
ヒント8 面倒だと思ったら、脱いだ履物を揃える。面倒だと思ったら、脱いだ履物を揃えましょう。自分が使った椅子を、元通りに直して立ちましょう。ゴミが落ちていたらば拾いましょう。
面倒なことをしないでおくこともできますけれど、する自由も私たちにはある訳です。自分の怠け心と戦って、自分の意志を強くしていく為に、とても大切なことだと思います。
ヒント9 当たり前がありがたい。
輝くものばかりを追い求めていると、その生活は貧しいものになってしまいます。そうではなく、すべてを自分にとって意味あるものにしていく。当り前を輝かして生きていく。感動することを忘れないで生きていく。当り前をありがたいととる、そういう心を持つことが大事です。