ちなみに、これまで同性愛者であることを公表したヨーロッパ首脳には、ベルギーのエリオ・ディ=ルポ前首相やアイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティル元首相がいます。これまで同性愛に対して、キリスト教世界ではタブーでありました。近年では、英国を代表するミュージシャンのエルトン・ジョン卿などが二人の実子(代理母出産)を公表しきている状況もあって、欧州も変化をみせています。しかし、政界において、ベッテル首相は、ヨーロッパで同性愛を公表している唯一の現職首相です。
近年には、GLBTまたは、LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)として、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の各語の頭文字をとったカタカナ言葉が使われるようになってきました。性の多様性と個人の性のアイデンティティを文化として受け止め、性的マイノリティーを肯定的にとらえる新概念が受け入れられようとなってきました。2015年の調査(電通調べ)では、およそ7.6%の人がセクシュアル・マイノリティだとされています。職場、学校、家族のどこにあっても、誰であっても、差別されるのでなく、まっとうに暮らせるようにすることが、住民に選ばれた議員の目指す方向だと思うのですが、頭の固い人が多いのも現実です。
それでも、2015年には「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」を制定し、渋谷区と同日の11月5日から「パートナーシップ宣誓書受領証」の交付が開始されたのは有名です。要綱で制度化したため、申請手続きが簡素化されており、初日に7組のカップルが受領書の交付を受けたということです。我孫子市議会でも、GLBTへの理解をという議会での質疑がされて議員間でも認識を深めています。しかし、海老名市、宝塚市の市議会議員らからは差別発言が目立ってされているのも事実です。かつて、千葉県議会でジェンダー、リプロに対する無理解が条例化を阻んだ時期を彷彿とさせますが、性差による決めつけなど、伝統的社会的概念を護らせる、日本人の美風(徳)だと誤解して、排除しようとの勢力に動く議員、またはそういう意識の支援者が現状としてはまだまだ強いのも事実です。
出典:ロイター