江上治 『運命転換思考』(経済界)で、意外なことが教えていました。人生の正解は、意外なところにあります。お金を稼ぐという面で考えても、他人のために手を貸す、何かを与えるという考え方は効果的だというのです。 自分がまずお金を稼ぐというよりも、「人に与えなさい、稼がせなさい」と考えるほうが正解なのです。これを、地域行政に当てはめて考えてみるとどうなるのだろうか・・・・。
これにはきちんとした仕組みがあって、「人に与える」とは、自分の持つ資源を与えて、相手の社会的な価値、人間的な価値を上げてくれる対象で、けっして自分中心ではなく、視線がいつも他人に向けられている、ですから、人に好かれる町の仕組みになっていく。しかも、好かれるだけでなく、ビジネスのわかる人は恩恵にあずかったら返報がなされます。 返報とは、恩返しといってもいい心理です。
ただ、この返報のルールを説明したとき、必ず返される言葉が、 「私には、人に与える情報も、お金も、何もない」です。でも時間という資源は、すべての人平等に持っています。たとえば、時間のかかっている作業を引き受けてしまうのです。そうすれば、その人は厄介な仕事から解放され、自分の時間が増えることになります。こうしたことは、そのつもりでまわりを見渡せばたくさんあることに気づくはずです。ですから、どんな人にも、「資源がある」のです。
たとえば、講座の準備や雑用を自ら買って出て、ほかの講座生が勉強しやすい環境を、一所懸命につくるとすると、ある難題にぶち当たったとき、一緒に学んだ仲間が応援し、その難題を乗り越えることができたのでした。先にほかの人の助けになることが、結局は自分が助けられることを、あらためて証明したものです。
相手のことを考え、その悩み、課題をどうしたら解決できるかを考えている。こうした姿勢は、一方でその人を大きく成長させていくことに違いありません。
そして最後に、いちばん大事なことをお伝えします。それは、あなたが誰かの役に立つことをして、その対価としてお金を差し出されたら、「受け取る」ことです。ありがとうございます、といっていただかなくてはなりません。そうしなければ、あなたは単なる「いい人」で終わってしまい、お金は貯まらないばかりか、ほかのお金も入ってこなくなります。これはビジネス上のお金の真理です。
安岡正篤師が紹介した言葉に「斡旋の才」というものがある。 人の世話をいとわないおおらかな人や、人の喜ぶのを見るのが大好きな「利他の人」でなければできない。
これは、江戸時代後期の、神職であり久留米藩士でもあった、真木和泉(まきいずみ)の言葉だ。斡旋とは、人と人との仲をうまく取りもったり、双方のなかだちをすることだが、その人にふさわしい人物や、物品あるいは職業などを紹介すること。つまり、真の斡旋は自分のことばかり考えている利己的な人にはできない。
「身体を動かすことを厭わない(雑用を引き受ける)」、「困ったときは、昼でも夜でもかけつける(時間を使う)」、「近所や会社の掃除をコツコツやる」等々。お金やスキルがなくても、人の役に立つことは考えればいくつもある。
まずは、自分が人の役に立ち、人を喜ばせることの実践を重ね、実践していきたい。