ヘレン・ケラーの『楽天主義』(OPTIMISM) 彼女の大学時代の処女作だそうで、小さな本ですが、文章が若々しくて、秋の青空のように、天高く爽快な気分になります。
「幸福は心の持ち方の問題で、外見から他人が判断できるものではない。
健康と財産が世間並以上であれば幸福であるが、そのうちいずれかが水準以下であれば、不幸な状態であると嘆くことになる。そのような基準で幸福を考えれば、私のように耳が聞こえず、目が見えない者は、普通の人が持つ機能を失っているのであるから、幸福など望むべくもない。 家に閉じこもって、ひたらすら身の不幸を嘆き悲しむだけで一生を送ることになるのではないだろうか。
ところが、私は、盲・聾・唖の障害者でありながら、世間の常識に反して自分は幸福であるという考え方を信条としているのだから、これから私が述べる楽天思考の証明には、世の中の人たちに耳を傾けてもらえる何かがあると思う」
ヘレンが若かったころ、メーテルリンク(『青い鳥』の作家)がヘレンに尋ねました。
「あなたは、本当に自分が幸福だと思っていますか」
ヘレンはきっぱり答えました。
「私は心の底から幸福だと思っています。もし幸福でなかったら、私のこれまでの人生は無意味ですから。この場で短剣で胸を刺すでしょう」
これを聞いたメーテルリンクは、ヘレンをひしと抱きしめ、 「あなたはほんとうに青い鳥を探し出してくれました」と感涙にむせんで言ったということです。
幸福は外から与えられるものではなく、心の持ちようなどという悠長なものでもなく、 『私は幸福なんだ。これまでの人生で経験したすべてが無駄ではなかったんだ。それらの経験が私をここまで生長させてくれ、幸せにしてくれたんだ』と断固として宣言する《意宣(いのり)=自らの意志を宇宙全体(神)に宣言する)ことなのです。
自分は…
「幸せ」と意宣る。
「ついてる」と意宣る。
「楽しい」と意宣る。
ヘレン・ケラーの『楽天主義』とは、あれがないからダメ、これがそろってないから出来ないという、いいわけではなく、やりたいと願ったことをやり遂げることだった。