トム・ラス 『元気は、ためられる』VOICEに興味深いことが書いてありました。
私たちが有意義な仕事をしたいと思うのは、私たちの外側からの動機づけによるものではなく、内側からの動機づけによるものです。外側からの動機づけは「外発的動機づけ」と呼ばれています。
見返りを得ることが目的でなにかを行ったら、外発的に動機づけられたことになります。
給料や諸手当がもっといい会社に転職した場合も同じことが言えます。
さらに、その会社で週に60時間働いて、ほかのだれかが勝手に設定した目標を達成した場合も同じです。
結局そうした業績は、履歴書上で見栄えがいいですから、何年後かにだれかがあなたを評価するときの好材料になるわけです。
一方、内面からの動機づけは「内発的動機づけ」と呼ばれています。内発的な動機は、心の奥深くにあるもので、外側からの動機よりもはるかに豊かです。生徒の成長がやる気の源になっている教師や、患者の健康改善が原動力となっている医師は、内発的に動機づけられていることになります。そういう教師や医師の場合は、自分の仕事の「意義」が内発的動機づけにつながっています。
たとえ見返りや報酬がなくてもやりたいと思ったなら、内発的に動機づけられたことになります。
最近の調査結果を見ると、どうやら内発的動機づけだけに専念したほうがいいようです。
外発的なインセンティブ(意欲を引き出すための刺激。報奨金)から動機を引き出した場合は、その動機がどんなものであれ、パフォーマンスが低下する恐れがあるのです。
イェール大学のエイミー・レズネスキーのチームが14年以上にわたって、米国陸軍士官学校の生徒たちの入学の動機を調べ、その後の追跡調査を行いました。その間に調査した生徒の数は1万320人にのぼりました。
調査の結果はチームにとって意外なものになりました。
内発的な動機で入学した生徒たちは、外発的な動機で入学した生徒に比べて、士官学校を卒業する確率も、士官となる確率、昇進する確率、陸軍にとどまる確率も高いことがわかりました。
内発的な動機(「兵士たちを率いたい」「国に奉仕できる」など)と外発的な動機(「もっと条件のいい仕事に転職したい」など)が両方とも強かった生徒たちは、内発的な動機で入学した生徒ほどの成功は収めていなかったのです。チームの予測に反して、2つの強い動機を持つ生徒たちは、成功を測るすべての指標で、内発的動機だけの生徒を下回っていました。
E.レズネスキーとB.シュワルツは、この調査についての新聞記事にこう記しています。
「一見、矛盾しているようですが、仕事の金銭的な見返りではなく、仕事の意義や影響に目を向けるよう手助けすることが、彼らの仕事の質を改善し、彼らを金銭的な成功に導く最善の方法といえるでしょう」
この話は、インセンティブを用意する側も受ける側もよく覚えておく必要がありそうです。
そこで、自分の最高の内発的動機もいつでも意識できる簡単な方法を見つけるのもよさそうです。
たとえば子どもたちの写真があるだけで、内発的な動機を思い出してやる気が出ます。
つまり、内面からの充電になるものは、たぶん、ほかの人と同じではないでしょう。
内発的動機は万人に共通のものではなく、個人的なものだからです。
トム・ラス氏は本書の中でこう語っています。
「誰かのために、もうちょっと、そんな小さな行動の積み重ねこそが、自身と周囲の人間を、幸せで元気いっぱいにするのだ。人生にポジティブな充電をもたらすのは、他人の役に立つ生き方だ」
「忘己利他(もうこりた)」、自分を忘れて、他人の喜ぶことをするということです。
他人のために努力をすれば、やがてそれは自分に返ってくる、というのも、結局は「利己的」な考えで、まったく見返りなしの、純粋な利他の心こそが「忘己利他」です。
自分の利のための努力など、高が知れていて、「誰かのために」と思ってしていたことこそ本物だというのです。内的な動機を高めるには、他人の役に立つ生き方をすること、他人の役に立つ生き方をしていると、元気がたまってくるのだそうです。
もっと簡単に考えると、料理を作って食べさせる、華族や、知人に忘己利他ということでしょう。
それを、一人で食事をとるような子供に温かい食事を提供しようとするなら、それも忘己利他一つになるのかも知らない。食事を満足に取れないという家庭の話が話題に上るようになって、
「子ども食堂」の試みが我孫子でも始まっています。
posted by Nina at 17:57| 千葉 ☁|
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