安倍総理は2月15日、来日中のパレスチナ自治政府のアッバス議長と首相官邸で会談し、一昨年のイスラエルによる攻撃によって壊滅的な被害が出たガザ地区の復興に協力する用意があると述べました。日本政府として、国際機関を通じて医療・保健分野などを中心に、約86億円の経済支援を行う方針とのことです。
イスラエルとパレスチナの和平交渉を巡っては、今年の1月、フランスのファビウス前外相が「国際和平会議」の開催を提唱。会談では、安倍総理がこの「国際和平会議」に日本として積極的に参加する用意があることを伝えました。
今回のアッバス議長の来日で注目すべきなのは、天皇陛下がアッバス議長と会談されたことです。パレスチナ自治政府の代表と天皇陛下が会談するのは初めてのことです。
宮内庁によると、アッバス議長は持参した地図を陛下に示しながら中東問題について説明し、「暴力やテロによらず、交渉を通じてイスラエルとの平和的関係を築きたい」と和平への思いを述べたとのこと。陛下は、「この地域に平和が訪れることは、世界の多くの人が願っていることだと思います」と応じたといいます。
イスラエルが一昨年の2014年7月から8月末まで、約50日間にわたりパレスチナのガザ地区を攻撃したことを記憶されている方も多いと思います。2200人以上のパレスチナ人が死亡するなど、ガザ地区はこの攻撃によって壊滅的な被害を受けました。過去のイスラエルによる侵攻と違い、それぞれの現場から動画や写真が発信され、SNS等を通じてあっという間に全世界に拡散されていきました。
ガザ地区で何が起きているのか、イスラエル政府がどのようなプロパガンダを展開しようとも、インターネットを通じて虐殺の事実が全世界に明らかにされたことはもっともっと強調されてよいと思います。
イスラエルによるパレスチナへの非人道的な攻撃について、その事実と歴史的な背景について、識者者は警鐘を鳴らし、クルドの問題以前の話でありながらも、解決の道は見えない。知人女性(翻訳者)が、パレスチナの子どもを支えるNGO事務所に関わっていて、時折、バザーの案内などを頂くことがあったので、やぶさかない気持ちでいた。これも政治の駆け引きであり、解決の方法が見えないまま長きにわたっている。そんな時に特別な方々のこうした動向は、重要なメッセージだと思える。
*IWJという団体のURLよりアクセスすると、アーカイブ動画がご覧になれます。
モントリオール大学教授・ヤコブ・M・ラブキン氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/156099
ガザ封鎖と民族浄化 について 岡真理・京都大教授インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/157429
繋がりあう尖閣・マレーシア・ガザ・ウクライナについて
東京大学名誉教授・板垣雄三氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/159297