貸したい部屋と借りたい旅行客らを仲介する「民泊」サービスで、外国人旅行者らに人気が高い「Airbnb(エアビーアンドビー)」。そこに部屋の掃除や旅行者への対応を請け負う代行業者が増えている。面倒な作業を一手に引き受け、「民泊」拡大の一翼を担うが、貸し出す部屋の多くは現行法に抵触する可能性も指摘されている。
Airbnbの代行サービス「ホストプラス」運営会社のスタッフが部屋の掃除を終え、取り換えた枕カバーやシーツを洗濯する。本来は、部屋のオーナー自身がAirbnbに登録し、宿泊後の清掃なども自分でやるのが普通だ。そこに、ホストプラスのように、部屋の写真や料金プランをAirbnbのサイトに掲載したり、外国人とメールでやりとりしたり、鍵の受け渡しや宿泊後の清掃をしたりと、必要なサービスを丸ごと請け負う業者が登場した。
ログイン前の続きホストプラスの場合、世界中から届く質問や予約のメールに東南アジアにいる契約スタッフが24時間態勢で返信する。東京を中心に約30人いる別のスタッフは掃除と鍵の受け渡しに走り回り、お湯が出ないなどのトラブルにも駆けつける。
運営会社社長の仁田洋輔さん(30)は「昨年9月の開始直後はオーナーからの電話が鳴りやまず、ほとんど対応できなかった」という。今も都心や観光地など需要の高い部屋以外は断っている。管理する約40室の平均稼働率は8割を超え、宿泊料の取扱高も月1千万円を超えた。
代行業者は昨年秋から増え続け、今では20業者以上がサービスを競っている。「ミスタースイート」は、周辺ホテルの価格や空室状況を毎日チェックし、宿泊料を自動調整するシステムが特徴だ。「ファミネクト」は中国語やフランス語でも対応している。「ホスティ」は転貸できる物件の紹介もおこなう。
代行業者が受け取る手数料は「宿泊料の1〜4割」が相場とされるが、業者によってまちまちだ。
Airbnb全体の9月末時点の日本での紹介物件は約1万6千と、前年同期の3・4倍に増えた。外国人旅行者の急増が背景にあるが、こうした「民泊」は、同じ部屋に有償で繰り返し宿泊させれば、「無許可で旅館業を営んでいる」とみなされ旅館業法に抵触する可能性が高い。代行業者の多くは「やるかどうかは部屋のオーナーの自己責任」との立場だ。
一方、外国人旅行者の受け入れを増やしたい政府は、こうした民泊をまず一部の「特区」で認めようとしている。地域を限って規制を緩める政府の「国家戦略特区」を活用する。東京は都内全体が特区に指定され、一定の条件を満たす空き部屋を都や区が認めれば旅館業法が適用されない。最低滞在期間はそれぞれの自治体が決める必要がある。
滞在期間は1週間以上。安全性や衛生面を調べるため区が室内に立ち入る権限も条例に明記する。規制緩和を活用すると旅館業法で宿泊施設として営業が認められるのはフロントなどを備えたホテルや旅館などに限られるが、特区では床面積25平方メートル以上の部屋に台所やトイレを備えるなど一定の条件を満たせば空き部屋を貸すことが認められる。太田区は、ホテルや旅館の建築が認められている地域の賃貸マンションなどを対象に、7日間以上滞在する外国人観光客らの宿泊を想定している。
羽田空港がある大田区の昨年のホテル稼働率は90%を超えた。2020年東京五輪・パラリンピックに向け、旅行客の増加でホテルが不足したり違法な民泊が増えたりしないようにしたいとの目的からだ。
こうした宿泊業務の代行業者も出てきた、そのおもな仕事:
・依頼物件の写真を撮り、宣伝文を作成
・周辺相場にあわせて価格設定
・質問や宿泊予約のメールに英語で応答
・チェックイン時の鍵の受け渡しや道案内
・水回りなどトラブル発生時の対応
・チェックアウト後の掃除と備品の交換
我孫子市は、旅行客の宿泊施設がそもそも少ない過ぎるのだから、こうした特区にも名乗りを上げてはどうなのだろか。