2015年07月17日

高齢者医療

 チューブで胃に栄養を投与する医療行為は、日本で高齢者にごく普通に行われている。一度導入されると実質的に後戻りできない。家族へ説明がない場合も多い。12年6月に「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」を発表し、人工的な水分や栄養補給を導入した後の減量や中止について、患者や家族の同意を得ることを容認した。

 医療技術が進歩し、さまざま形で延命ができるようになった。大正の頃、日本人の平均寿命は43歳にすぎなかったが、80歳を超えて世界一だ。総務省統計局によると、日本では65歳以上の20%が就労している。これは先進国の中で最も高い比率だ。 その半面、終末期ケアなど死の迎え方に関する評価は低い。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの調査によれば、日本の「死の質」は、先進国・開発途上国40カ国中23位にとどまる。 日本の国民医療費は国内総生産の9.6%を占める、これは米国の18%の半分だ。しかし、1955年以降に生まれた世代の年金、医療、介護の生涯純受給率はマイナス、つまり支払い超過になるとの報告を内閣府経済社会総合研究所が2012年1月に出している。国民皆保険制度は1960年代、日本人の死因の1位が結核だったときにできた。今はがんや心疾患などが死因の上位を占めている。これらは、治療が難しく医療システムに大きな負担がかかるので、政府の費用負担も増加している。米国メディケア費用の約30%は人生最後の2年間に使われている。患者一人当たりの医療費の平均は6万9947ドル(約700万円)だったとダートマス医療政策臨床研究所が報告した。

日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の柏木哲夫理事長は、「日本では、歴史的に病院が回復の見込みのない終末期患者の延命にも力を入れてきた。そしてそれがまだ主流だ」と言う。今は65歳以上の高齢者は4人に1人。2060年には4割を占めると推測されている。高齢化は、世界第3位の経済大国でありながら世界で2番目の巨額債務を抱えるこの国の財政を破綻させる可能性をはらんでいる。高齢者を支える勤労者や納税者が少なくなるにもかかわらず、出生率は低いままだ。私たちは日常の中で死についてほとんど話をしない。リビングウィル(生前の意思表示)を用意したり、終末期をどのように迎えたいかという話をすることは珍しい。挿入しているチューブを外して自然な死を迎えるという選択は可能か主治医に確認したところ、医師は「前の病院で鼻にチューブを勝手に付けられた。もうそれは胃ろうと一緒。鼻だろうが、胃だろうが一度チューブを付けてしまったらもう外せない」と言った。

 日本人の70%以上が末期がんや重度の認知症を患った場合に胃ろうは選択しないと回答した。リビングウィル支持は70%だったが、実際に意思が施術に生かされたのは3.2%だった。その方法の一つは、カテーテルを埋め込み、高カロリーの輸液を流し込む「中心静脈栄養法」で、カテーテルを長期間、血管に留置するため感染症が起きやすい。胃腸を使わないと免疫力も下がる。消化管が機能し、栄養補給が短期の場合は鼻から管を入れる「経鼻経管栄養法」があるという。このほかに、内視鏡で腹部から胃に数センチの穴を開け、外部とつなぐキットを組み込み、管を通して直接、水分や流動食、薬剤を流し込む「胃ろう」という処置もある。胃ろうは感染症が起きても大半が傷口部分でとどまるため、より安全とされる。 自然な消化吸収が期待できる安全な最も優れた方法だという。

 東京の水道橋東口クリニック理事長・院長で高齢者の在宅医療に携わる辻彼南雄医師は、「日本の老人は無理やり長生きさせられている。今の状態は医療虐待。当たった医師によって施されるケアが違う。高齢者尊厳法のような法制化や、終末期ケアに対する患者の願いを聞き取るような第3者機関をつくり、プロセス化をする必要がある」と述べる。

参照:
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MQBGLA6JIJUS01.html
posted by Nina at 00:00| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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