2015年07月06日

「明治日本の産業革命遺産」の登録、外国人強制労働の過去への認識も

「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録に反対していた韓国は、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相を、ドイツへ向かわせた(6/13)。ドイツは21か国でつくる世界遺産委員会の議長国だからだ。

 韓国の尹外相は、ドイツ・ベルリンにある強制労働記念館を訪れ、第二次大戦中、ナチスドイツによってヨーロッパ各地から集められた人々が軍需工場などで働かされた歴史の展示を見学した。

 韓国は「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産への登録について、「朝鮮半島出身者が強制労働させられた場所だ」と明記するように求めていた。ドイツ訪問は、「歴史と向き合って戦争責任を償っている」と言われるドイツと日本の違いをアピールする狙いがあったのだ。

 韓国側が問題視していたのは、官営八幡製鉄所や三菱長崎造船所、端島炭坑など7施設。第二次大戦中の1944年〜1945年の7カ月間に、強制徴用された約5万7900人の朝鮮人労働者が送られたと主張し、世界遺産の精神に反するのだと主張を明確に唱えた。

 今回、日本が推薦した産業革命遺産の内容は、黒船が来航した1853年から、一定の近代化を成し遂げた1910年にかけてと限定し、第二次大戦中は含まれない。政府は「(韓国の主張は)植民地政策をとった後もふくむ歴史的背景が異なっており、本件で申請する遺産の世界遺産の価値を覆すような時期にない」と反論していた。

 5月、ケリー米国務長官が、訪問中のソウルで、朴槿恵(パク・クネ)大統領や、尹炳世外相と会談し、冷え込んだ日韓関係の改善を強く促したが、韓国側は「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録阻止に動くなど、「反日」姿勢を示したままの状況だった。「日韓両国が敏感な歴史問題に自制心をもって対処し、直接対話を継続しつつ、互いが受け入れられる解決策を見いだすことを望む」とケリー氏は、尹氏との米韓外相会談後、共同記者会見でこう語っていた。日韓双方に関係改善を促した形だが、発言の場所や経緯を考えると、事実上、韓国に「外交圧力」をかけたといえる。

 オバマ米大統領は昨年3月、日米韓首脳会談を主催して、日韓両国の歩み寄りを迫ったが、その後も韓国の「反日」姿勢は変わらなかった。最近、韓国は米国が称賛した安倍晋三首相の米上下両院合同会議での演説や、「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に推薦しようとする日本政府の行動に、韓国国会はわざわざ韓国国会が安倍晋三首相の米議会演説を糾弾する決議を採択した。佐々江賢一郎駐米大使は、「米議会の重鎮も電話をかけてきて、『素晴らしい演説だった』と言っていた。米国の大勢においては、歴史問題で韓国のような見方は共有されていない」と伝えていたのにだ。

  それでも、韓国・聯合ニュース(日本語版)は18日、ケリー氏の発言について、「問題解決のためには日本の努力が必要であることをあらためて表明したと受け止められる」との記事を配信するなど、さらに日本に責任転嫁している。

  韓国情勢に精通するジャーナリストの室谷克実氏は「ケリー氏が外交圧力をかけても、韓国の反日攻勢は簡単には収まらないだろう。日本としては冷静に証拠を示して、諸外国に事実を訴えていくしかない。安倍首相の就任2年半で、オバマ政権も日韓関係の真実がやっと分かってきた。最後には事の正否が分かれ目」という。

  こうしたなか、日本政府も世界遺産問題で反撃に転じる事になった。ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産委員会委員国に、副大臣や政務官を事実上の「首相特使」として派遣し、世界遺産登録支持の働きかけを強めている。韓国や中国の歴史問題を絡めた策謀を阻止する狙いという。そこで、韓国側としては尹外相を派遣して、シュタインマイヤー外相との会談で韓国の主張に理解を求めた。この問題で、韓国と日本は、「落としどころ」を探る協議を進める一方で、それぞれ世界遺産委員会の委員国への説得を続けている。朴槿恵大統領自身も、ユネスコの事務局長に直接、反対の立場を伝えた。

 その後は、尹氏の訪日となった。これは2013年2月の朴政権発足後初めて。韓国外相の来日は11年の金星煥(キム・ソンファン)外相(当時)以来、4年ぶり。岸田文雄外相は6月21日、韓国の尹炳世外相と東京都内で会談した。両外相は、韓国が反対していた「明治日本の産業革命遺産」(計23施設)の世界文化遺産への登録について、韓国側の主張を一部反映し、韓国が登録を求める推薦案件と合わせて登録が実現するよう協力することで一致した。安倍晋三首相と朴大統領との初の首脳会談については「適切な時期」に開催することで一致したほか、日中韓首脳会談を年内に行うことを確認した。
 
 産業革命遺産の世界遺産登録を巡って、韓国側は「戦時中、朝鮮人が強制徴用された」と負の遺産も明確にし、登録対象施設での強制徴用に関する経緯を訪問客に何らかの形で説明するよう求めていた。会談では、韓国側の主張を一部反映することを確認したとみられ、同じく国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関による登録勧告を受けた韓国の「百済歴史遺跡地区」と合わせて、登録に向けて協力することになった。

 会談終了後、岸田氏は記者団に「両案件が共に登録されるよう協力することで完全に一致した」と明言。尹氏も「円満に解決しようという共通認識をもって、緊密に協力することにした」と述べ、反対の撤回を検討していることを示唆した。

 従軍慰安婦問題については、解決に向けて局長級協議などで議論を続ける方針を確認した。また岸田氏は、韓国の裁判所で戦時中に日本に動員された元徴用工の個人請求権を認める判決が相次いでいる問題について「解決済み」と主張する日本側の立場を改めて伝えた。

 尹氏はまた、国会で審議中の安全保障関連法案について「日本側から透明性をもって説明の努力をしていただいていることは評価している」と言及。北朝鮮の非核化に向け、具体的な行動を引き出すために日韓や日米韓の連携が重要であると確認した。このほか、日本側は韓国が東京電力福島第1原発事故を機に実施している東北などからの水産物の輸入制限の解除を要求している。政治折衝にまで影響をみせている。

  朝鮮人労働者の強制労働に関しては、日本政府関係者からは一部の施設で行われていたその表現や扱いを巡って韓国側の要求が高く、そのため、交渉が難航したという。日本のユネスコ関係者は、日本と韓国はいったんは登録に向けて合意したが、その後、韓国側は委員会のなかで、「強制労働」に関して意見陳述を行うという方針を打ち出したということだ。 世界遺産への登録の可否を委員会で決めるため、日韓の協議が不調に終わった場合は、投票での決着に持ち込まれることになった。

  先月22日は、一年でもっとも日が長い夏至であると同時に、両国の国交正常化50周年の日でもあった。記念式典では、「国交正常化50周年の今年を、韓日両国が新たな協力と共存共栄の未来を目指してともに歩んでいく転機にすべきで、私たちの責務だ」との韓国の朴槿恵大統領からのメッセージも披露された。「20世紀前半にあった不幸な関係を乗り越え、和解と共生の新しい時代への大きな一歩を」と前向き、未来志向に転換していかなければならない。

 幸い5日(現地時間)、日韓両国の調整は曲折の末に辛うじて決着し、「明治日本の産業革命遺産」(福岡など8県23施設)は世界文化遺産登録されると決定した。これによって「富士山」(山梨、静岡)、「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬)に続いて3年連続で、日本の世界遺産は文化15件、自然4件の計19件となった。2017年の正式な認定までに、日本は韓国側にも理解されるよう各施設の説明内容を明確にして、委員会にレポートを提出することになるという。

備考:
足尾銅山、朝鮮人労働者の墓は人目につかない場所に
田中正造が天皇に直訴して捕えられた、鉱毒事件の闘争には志賀直哉の父も経営者の一人として連なっていたため、父との『和解』を書いてからの志賀は表立って社会批判はしていない。今後、この銅山の歴史を踏まえての世界遺産登録では、朝鮮人労働者の過酷な労働への実態を含む渡良瀬川周辺の農民たちの生命が公害で失われた事実も克明にしていくことが、予想される。



つづき
posted by Nina at 00:00| 千葉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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