和歌山電鉄貴志駅(和歌山県紀の川市)のスーパー駅長を務める三毛猫「たま」は 和歌山電鉄は、観光のシンボルとして国内や海外からの観光客を増加させた招き猫、福猫だった。そのことを高く評価して、2014年1月、同電鉄14駅の総駅長職となる「ウルトラ駅長」に昇進していたが、22日午後7時すぎ、16歳2カ月で天国へ旅立った。同社によると、人間の約80歳に相当するという。
昨年、同駅では「たま駅長就任7周年記念式典」をおこなっており、集まったファンら約300人が祝福したということがあった。たま駅長は国内外のメディアが数多く取り上げ、アジアを中心に、たま駅長見たさに和歌山を訪れる外国人観光客も増加。イタリアの新聞、シンガポールやアメリカのテレビ局が取材に訪れたほか、アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の米国本社(ジョージア州)のIR担当者から取材を受けた。同社では株主に向けた事業報告書を発行しており、日本でアフラックのテレビCMに出演したたま駅長の話題を、ユニークな取り組みとして掲載に。最近には、アルジャジーラも注目し、5月に体調をこじらせていたため「ニタマ」が代理取材をうけた世界でも経済効果をもたらず「招き猫」効果の異色の存在だった。
こうした功績をたたえ、和歌山県は「県勲功爵(わかやまでナイト)」や「県観光まねき大明神」の称号を贈っていた。同社では、2007年1月に駅長に任命された。愛くるしさと物珍しさで観光客を招き、赤字のローカル線は一躍人気スポットに。08年にスーパー駅長、写真集などグッズの売り上げでも貢献し、なんと、駅舎も10年には猫を模した新駅舎に模様替えし、和歌山県、紀の川市の顔として地域や乗客に笑顔をもたらしてきた。13年1月に同社の社長代理に昇進した。昨年は貴志川線総駅長職「ウルトラ駅長」に就任したという目覚ましいキャリアを積んでいた。なにぶん、スケートの高橋大輔氏もオリンピック前に母親が、気持ちがおおらかになるようにと駅長の写真をとって渡したとかの名物駅長なので、受験生らにも全国レベルでの知名度が高かった。そのため、ウルトラ駅長の部下とされる同電鉄伊太祈曽(いだきそ)駅長の飼っている三毛猫「ニタマ」(雌、3歳)も「スーパー駅長」になっている。帽子とメダルを身につけた2匹は「いいにゃあ」と張り切っているの様子だったという。
貴志川線存続のため04年9月に沿線住民らがつくった「貴志川線の未来を“つくる”会」代表の浜口晃夫さん(73)=紀の川市=には、この24日午前、たまの死が伝えられた。浜口さんは「一緒に地域を盛り上げてくれた仲間。今後は私たち自身も頑張らないと。安らかに眠ってほしい」と、コメント。
仁坂吉伸知事は「たま駅長は観光のスーパースターとして国内外から絶大な人気を誇り、観光振興に大いに貢献してくれた。突然の死の悲しみとともに感謝の気持ちでいっぱい。どうか安らかに永眠してほしい」と話したとされる。28日午後0時半から貴志駅で社葬を執り行う。葬儀委員長は小嶋社長。
海津にいなの家には、4月で22歳になった白猫がおり、この換算から110歳にあたるということになる。かつては、隣家の家の人の靴音と聞き分けて出迎えに表れたが、今は、成長して帰りの遅くなった子供たち、家族の帰りを日がな一日玄関の前で待っていている。猫や犬は家族や人の繋がりをほっこりと作り、地域の絆になっている心温まるエピソードを耳にすることが少なくない。