米海兵隊の新型輸送機オスプレイMV22が5月17日、米ハワイ州・オアフ島で訓練中に着陸に失敗し、乗組員1人が死亡し、21人が病院に搬送された。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)にも24機配備されたものと同機種で、安全性などをめぐって議論が再燃するのは必至だ。
地元メディアは、目撃者の話として、3機のオスプレイが上空を旋回し、いずれも地上に向けて高度を下げたものの、2機しか浮上せず、数秒後に黒煙が上がった、と伝えている。事故原因について、海兵隊では「調査中」としている。
海兵隊仕様のMV22は、すでに米軍普天間飛行場に24機配備されており、陸上自衛隊も同機種のオスプレイを2018年度までに米側から計17機購入することを決め、佐賀空港への配備を検討している。このほか、米国防総省は今月11日、米空軍仕様で特殊部隊などの輸送に使用するオスプレイCV22を計10機、横田基地(東京都福生市など)に配備すると発表している。
オスプレイは垂直離着陸ができ、航続距離も長いことから、米軍では旧型の輸送機やヘリなどを順次オスプレイに交代させている。ただ、オスプレイは開発当初から事故が相次ぎ、安全性を疑問視する声もあり、沖縄などで配備に根強い反対があった。今回の事故を受け、その安全性をめぐって改めて議論と検証が求められるのは避けられず、配備計画にも影響する可能性がある。
米政府監査院の報告書などによると、1991年6月、試作機が配線ミスで墜落。翌92年7月には試作機で火災が発生し、7人が死亡した。米海兵隊のMV22をめぐっては2000年4月、救出訓練中に墜落し、19人が死亡。同12月、操縦不能で墜落し、4人死亡。12年4月には、モロッコで訓練中に墜落し、2人が死亡した。13年8月にも、米ネバダ州の基地近くで着陸に失敗した。
横田基地に配備される米空軍のCV22型機も、10年4月、アフガニスタンで作戦中に墜落し、4人が死亡。12年6月に米フロリダ州で墜落事故を起こした。海兵隊仕様のMV22は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に24機配備されているほか、陸上自衛隊も導入を決めている。横田基地にも米空軍がCV22の配備を予定している。事故が相次ぎ、沖縄など地元では配備に反対する声が強い。
訪米中の翁長雄志(おながたけし)・沖縄県知事は29日(日本時間30日)、ハワイ州でデービッド・イゲ州知事と会談した。3日間の滞在で上下両院議員3人に加え、デービッド・イゲ州知事とも会談。県幹部は「会談相手は、こちらの要望がほぼかなった」と明かす。ただ、「辺野古ノー」を訴える翁長氏に対する会談相手の反応は様々。28日に会ったブライアン・シャーツ上院議員は「できる限りのことをしたい」と協力の意向を表明したものの、29日に会談したイゲ氏は沖縄に駐留する米海兵隊の一部をハワイに移転する再編計画には理解を示したが、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題については「日米両政府の問題」と述べるにとどめた。ハワイで起きたオスプレイの事故についても、意見を交わす時間はなかった。イゲ氏は祖父母が沖縄県出身の日系3世。今年は沖縄とハワイの姉妹提携30周年にあたり、会談で翁長氏とイゲ氏はそれぞれで予定されている式典に参加する意向も確認した。翁長知事はハワイの会談後、ワシントンに向かった。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画をめぐり、名護市の稲嶺進市長は30日(日本時間31日)、米ワシントンで市民団体と意見交換会を開いた。移設反対を訴えるため訪米中の翁長雄志知事に同行している稲市長は、移設作業が続く沖縄の現状について「植民地と言っても過言ではない」と市民団体側に説明した。米国内で反戦や女性の権利を訴える複数の市民団体のメンバーら約10人にあった稲嶺市長は、戦後70年たっても全国の米軍専用施設の74%が沖縄に集中していると説明し、「どこの国でもこれだけ差別的な扱いはないと思う」と語った。また、辺野古の米軍基地前や海上で移設反対派と県警、第11管区海上保安本部が衝突している写真を紹介し、「県民同士を対立させ、分断させるのは植民地政策の常套(じょうとう)手段だ」と日米両政府を批判した。
6月3日(日本時間4日)、米政府高官などと面談し、普天間基地の辺野古への移設計画に反対する考えを訴える。