2015年04月26日

TPPの進展で日米のパワーバランスは、どう均衡がとれるか

甘利TPP担当大臣は、先週行われたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の日米閣僚協議で、日本からアメリカ向けの自動車部品の関税について、アメリカ側が「相当な部分で」関税の即時撤廃に応じる意向を伝えてきたとの報道が出されて、あちらとしての譲歩がみえます。

ところで、TPP協定交渉の中で、あまり話題にならないが最も問題が深刻だと言われているのがISD条項です。これまでずっと自国の法律を極力変えずに他国と協定を結んできたのですから、当然の結果なのです。

 当時の情報で、TPPのISDS条項は安全保障上必要な規制等は訴訟の対象にならないようだ、と言われていましたので、水源地を守ることが日本にとって安全保障上必要だとなれば、ISD条項で訴えられることはないので、政府がそういった方針を打ち出すことが必要ですとの答えでした。

そこで、TPP協定などの推進をする前に、水源地や辺境の地の土地取得に関して必要な法整備をすることを政府に訴えなければならないと、調べていくうちに日本はすでにWTO等の取り組みで土地に関して外資による取得を留保しないことを認めてしまっていたことが分かりました。ですから、これから新しく法律を作るためには、WTO等協定義務違反が発生するために、協定の再協議を行い、それに見合った代償を日本として出していく必要があるということでした。国民の多くが知らないうちに、日本は外資に対してどんどん開かれてしまっていたのです。 ところが日本政府はそれで全く問題ないと考えているようです。そもそも、訴えられることを想定していない節があります。

それには主に二つの理由があります。一つ目の理由は、必要な規制には留保を主張して、それが参加国から認められれば留保表に記載して、規制を維持することができるというものです。この留保には将来的にも規制を新しくかけることを放棄しない、将来留保も含まれています。日本は国を開かなければならない、と間違った主張をして日本のTPP協定への道を開いてしまった元首相がいましたが、実際には日本はすでにかなりの部分を開いてしまっています。ですから、現状ある規制は必要な規制としてほぼ問題なく守られると説明しています。ICSIDの仲裁人を務められたこともある故小寺彰東京大学教授は、今のままでは難しいでしょうねというものでした。

 例えば、日本の遺伝子組み換え作物の表示義務化が覆されるということです。あのモンサントはTPPによって思いのままに日本の農業産品にも手を下せるとなりそうです。 アメリカの息のかかった世界銀行はモンサント有利な判決を下すことになるとの予想がされ、事実、米国と北米自由貿易協定(NAFTA)を結ぶカナダ、メキシコでは、これまでにISD条項を使って46件の提訴があって、そのうち30件が米国企業が原告。結果、米国企業はカナダとメキシコから多額の賠償金を勝ち取った。早い話が、米国政府が負けた訴訟はない。つまり「ISDは米国優位」というのがNAFTAを通じて裏付けられています。自動車の部品の関税で譲歩しても、ISD条項で手堅く得るなら、勝をえるのは米国だとの計算ずくなのでしょうか。

これまでに海外に進出する際、様々な参入障壁と格闘してきた日本の推進企業たちは、協定が他国による不当な扱いを抑制するものになればいいと考えているだけで、自分たちが他国を訴えることを想定していません。内外格差がない規制を作ってきたし、これからも作っていくと考えている政府は、日本が訴えられることを想定していません。

私たちは、政治家が一見専門家を抱えて自信を持って行っているような事項にでも、やはり真摯に考えて、意見を交わして、日本にとっての選択をどうすべきか、疑問に向かい合ってくれる政治家を見出し、米国にいいような答えに合わしていくばかりでなく、交渉をしてもらう必要があります。


posted by Nina at 07:56| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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