2015年04月21日

認知症、覚えていない養子の問題

1) 東京23区内に住む80代の女性が、2013年、遠い親戚にあたる中年の女性と養子縁組をした。
 縁組から約2週間後、「(財産は)養女にすべて相続させる」という遺言書がつくられた。

 女性には、親から相続した1億円相当の土地建物や預金がある。以前には、長年付き合いのある団体に「すべて寄付する」と周辺に繰り返し語っていた。女性に実子はおらず、いずれは養女が財産を相続することになる。

 女性は数十年ずっと一人暮らしだったが、08年ごろから「人と会ったことをすぐに忘れる」といった認知症の症状が出始めた。養子縁組した13年ごろには、部屋は足の踏み場もなくなるほどゴミが散乱していた。いま、遠戚の女性と養子縁組した当時の経緯はほとんど覚えていない。

 女性はヘルパーに介助されながら今も自宅で一人暮らしを続ける。外出はめったにせず、家で長時間、テレビを見て過ごす。

2)今年1月、関東北部に住む70代の認知症の女性に養女から一通の文書が送られてきた。「2千万円で離縁に応じる」というものだ。夫に先立たれ一人で暮らす女性には数千万円の資産がある。この女性は11年、自宅近くに住む知人の20代女性と養子縁組した。

 この縁組を不審に思った親族は、家裁に対し「親族が女性を扶養する権利」があることを確認し、養女に「離縁」を求める審判を起こした。親族の一人は「親族に一言もなく、赤の他人が養子縁組しているとは驚いた」と話す。審判では、女性の預金が計70万円以上減ったこともわかった。

 この審判の和解案として、養女側が示してきたのが「2千万円で離縁」という条件だ。家裁の結論はまだ出ていない。

3) 東京都内に住む認知症の90代男性にも養女がいる。
 10年以上前、繁華街のカラオケスナックで知りあった当時60代の女性だ。妻に先立たれ、自宅で一人暮らしだった男性が、この女性と養子縁組したのは08年。男性はこのころ、すでに認知症の症状が出ていたとみられる。11年には、養女が本人に代わって財産を管理する成年後見人になった。男性の自宅を3千万円で売却し、その一部を男性の老人ホームの入居費にあてるなど、介護に必要なお金の手当てをしていた。

 一方で養女は後見人の義務として、男性の財産の状況を家庭裁判所に報告していた。しかし、報告に不審な点があるとして家裁は12年、養女を調査する監督人をつけた。監督人の調べによると、養女は男性の預金から多くのお金を自分の口座に移し、1年で約1500万円を使っていた。残りの預金もいずれ養女が相続する。

 じつは、男性は12年、もう1人の女性とも養子縁組していた。男性の自宅に訪問介護に来ていた30代の女性ヘルパーだ。だが、1人目の養女がヘルパーの事業所を通じて離縁を求め、ヘルパーが応じる形でこの養子縁組はわずか1週間で解消された。


 ■財産狙いに注意を
 日本では、養子縁組の手続きは比較的簡単だ。筆跡の鑑定もない。
 2人の戸籍謄本と「養子縁組届」を自治体に提出するだけで「親子」の権利関係が生まれる。
 しかし、養子の縁組や解消は双方の同意を前提としているため、縁組後、親が認知症で判断力が低下した場合などは、仮に周囲が縁組の解消を望んだとしても、養子側が縁組の継続を望めば、離縁するのは難しい。

 日本では毎年約8万件の養子縁組がある一方、認知症高齢者の縁組をめぐるトラブルは各地で起きている。後見人の司法書士らでつくる「成年後見センター・リーガルサポート」の川口純一・東京支部長は「財産狙いの縁組への対策を早急に打つべきだ」と話す。

 しかし、養子縁組が財産狙いかどうかチェックするしくみはない。
 早稲田大学法学学術院の岩志和一郎教授(民法)は「行政に当人たちの『意思』を審査する権限はなく、要件がそろった届け出は受理しないわけにはいかない」と話す。

 財産を管理する後見人も、結婚や養子縁組など、家族制度の根幹にかかわる行為には立ち入れない。民法は、養子縁組について「後見人の同意を要しない」と明記している。大阪大学大学院の床谷文雄教授(民法)は「後見を受けている高齢者を守るには、民法の『後見人の同意を要しない』を『要する』と変えるのも一案だ」と言う。

 今できることはあるのか。
 元気なうちに後見人を予約する「任意後見」を使うなど、早めに面倒を見てくれる人を探しておく方法もある。そうすれば財産狙いの縁組をさせられないようアドバイスを受けることもできる。
 後見人がついた後に縁組がなされた場合、養子側は相続権は持つが、日ごろの財産管理の権限は後見人側が持ち続ける。


参照:朝日デジタル 4/19
posted by Nina at 00:00| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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