2015年03月06日

汚染水処理が間に合わず、  汚染水の定義の改変は許されるのか??

 東京電力福島第一原発の汚染水処理が今年の3月末には終わらず、5月末まで延びることになったという報道がありました。

そこで、以前に講演会で名刺交換した、河野太郎氏よりのメールを参考にして、状況を整理してみます
(この汚染水の問題は、自民党内では秋本真利代議士が非常に熱心に取り組んでいる、との但し書でした)
・・・・・・・

■変えられた汚染水処理の定義
 自民党の行革推進本部で内閣府・経産省からヒアリングをしてみると、どうも話が違うのです。現在、原子炉に毎日320トンの冷却水が投入されています。それに加えて地下水が毎日300トン流入してきます。そしてさらに、海岸のそばで高濃度の汚染水が毎日100トンくみ上げられていて、合計して毎日720トンの汚染水が発生しています。この720トンはキュリオン、サリーと呼ばれるセシウム吸着装置を通り、そこでまず、セシウムが取り除かれます。その後、淡水化装置で塩分が抜かれ、真水320トンが再注水に回され、塩分が残ったままの400トンが貯水タンクに貯められます。今年2月5日の時点で241,900トンが貯められていました。そしてこの汚染水は、ALPSと呼ばれる多核種除去設備を通されて、トリチウム以外の核種がほとんど取り除かれた状態で別の貯水タンク群に貯められます。

 一口にALPSといっても3台あります。
ALPSは1日の処理能力が750トン、平均稼働率が50.5%で毎日平均379トンを処理します。
 増設ALPSは処理能力が750トン/日、平均稼働率73.6%で毎日552トンを処理します。
 国費150億円を補助金として投入した高性能ALPSは1日の処理能力が500トン、平均稼働率56.8%で毎日284トンを処理します。
 この3系統のALPSを動かせば毎日1,215トンを処理することができるわけです。
 241,900トン貯まった汚染水を毎日1,215トンずつ処理すれば、全部の処理に199日かかります。しかし、その199日間、毎日400トンの汚染水が出てくるので、その79,600トンを1,215トンずつ処理すれば66日。
 つまり、汚染水処理には300日位は かかる計算になるます。
 とても5月末には終わりません!

 どうも東京電力は、「汚染水処理」の定義を変えたようです。

■ 当初の定義はトリチウムのみが残存の汚染水処理、今後は多数各種が除去できなくても「汚染水処理」?!
  
 当初、「汚染水処理」とは、ALPSで多核種を除去し、トリチウムのみが残った水にすることを指していました。内閣府も経産省も、汚染水処理とはALPSを通した水にすることだという認識であったことを認めています。

 ALPSを通しても水に含まれるトリチウムは告示限界が6万Bq/Lに対して、当初は420万Bq/L、最近でも40万Bq/Lが残っています。

 ということは、「汚染水処理」とは言っても、厳密には「トリチウム汚染水とでもいうべきものにすること」なのです。 2月5日時点でALPSを通りトリチウム汚染のみになった水は297,000トン貯まっていました。

 ところが東京電力が5月末までに終わらせると言っているのは、この当初の定義にすることではないのです。

 汚染水のうちサリー、キュリオンだけを通すか、サリー、キュリオンを通ってからモバイル型ストロンチウム除去設備またはRO濃縮水処理設備と呼ばれるものを通した汚染水についても「処理した」と扱うことに定義を変えて、その処理が5月末までに終わるというだけなのです。

 ALPSは62核種を除去するが、サリー、キュリオン、モバイル型ストロンチウム除去設備、RO濃縮水処理設備はストロンチウム等の限られた核種しか除去しません。

 つまり当初の定義通りトリチウムのみに汚染された水にすることを「汚染水処理」と呼ぶのではなく、ストロンチウム等だけを除去することも「汚染水処理」と呼ぶことにしたようです。
 経産省に、いつ「汚染水処理」の定義を変更したのかとたずねると、「『東京電力は』それも汚染水処理とよんでいる」と答えるのが精いっぱい。

 本来、3月末までに汚染水処理を終えるためにはALPSを増設する必要がありました。しかし、東京電力はその投資をケチって処理の時期を遅らせ、さらに「汚染水処理」の定義を変えたわけです。

 内閣府・経産省の説明を聞く限り、そういうことになります。

■汚染水処理は、いつ完了するのかわからないという状況でのアンダーコントロール
 当初の定義どおりの「汚染水処理」が終わるのはいつになるのか内閣府・経産省に報告を求めましたが、東京電力は、すべての汚染水がALPSで処理されるのは、いつになるか今の時点では言えないと経産省に回答してきました。ですから正確なところはわかりませんが、最大で一年近く遅れるようです。

 さらに、異なる定義で「汚染水処理」という言葉が使われるのは国民の間に混乱と誤解を生むので、「汚染水処理」とは当初の定義通りトリチウムのみの汚染水にすることに統一するように求めました。

 政府は東京電力をきちんとアンダーコントロールの状況にしておかなければなりません。

■福島第一原発の汚染水に関しての誤解
 なかには「『汚染水』の有害物質濃度は水質基準をはるかに下回る。『処理しないで流せ』という田中俊一委員長が正しい」というように誤解している人もいます。これは大間違いです。ALPSを通った汚染水は、きれいなのかと言えば、依然としてここまで除去されないトリチウムに汚染されています。 「『汚染水』の有害物質濃度は水質基準をはるかに下回る。『処理しないで流せ』という田中俊一委員長が正しい」というのはまったくの誤解であり、田中委員長もそんなことを言っていません

 毎日720トン出てくる汚染水は、まず、キュリオンかサリーを通ります。
 そこでセシウム134は3000Bq/L程度に、セシウム137は6300Bq/L程度まで除去されますが、それでも告示濃度限度を上回っているレベルです。(今年の1月19日以降、ストロンチウムもある程度除去できるようになりましたが、もともと10の7乗ベクレル/Lだったものが10の5乗ベクレル/Lまで低下するだけで、告示濃度限度の30Bq/Lとは文字通りけた違いです。)

 上記の段階のものをALPSを通すとセシウム134と137が0.3Bq/L未満に、ストロンチウムが0.12Bq/Lにまで下がってきます。ALPSを通らない前のRO濃縮水処理設備とモバイル型ストロンチウム除去設備だけを通った汚染水はいわば「中ストロンチウム汚染水」とでも呼ぶような程度にしか汚染レベルは下がりません。ですから、最終的には汚染水は全てALPSを通さなければなりません
 

■しかし、トリチウムを除去するのは困難、処理も決まっていない
 当初は、ALPSを通した汚染水には4,000,000Bq/Lぐらいのトリチウムが含まれていましたが、最近でも400,000Bq/Lぐらいのトリチウムが含まれています。トリチウムの告示濃度限界は60,000Bq/Lなので、ALPSを通した汚染水もそれを上回っています。トリチウムを除去することは難しいので、このトリチウム汚染水を告示濃度限界以下まで薄めて海に流したらどうかということは、規制委員会も言っています。

 現在、福島第一原発の地下水バイパスに含まれるトリチウムは400−500Bq/Lなので、漁業関係者の了解をもらって海に排出しています。 サブドレンに関しては、海中への排出に関する意見集約が行われているところですが、トリチウムの濃度は1500Bq/L程度です。

 経産省は、トリチウム汚染水からトリチウムを分離するための技術開発に補助金を出しています。今、国内外の企業が数社、技術テストをしているところです。しかし、最終的にトリチウム汚染水をどうするかは決まっていません。

 最終段階の『トリチウム汚染水』を薄めて海洋に排出するという選択肢はないわけではありません。

 ALPSと増設ALPSは汚染物質を沈殿させるのでフィルターに加えてスラリーと呼ばれる沈殿物が出ます。高性能ALPSはフィルターだけで物質を除去しています。 こうしたスラリーやフィルターは敷地内のスチールとコンクリートの入れ物に入れられて保管されています。

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福一原発の瓦解は汚染水だけでなく、廃棄物の問題、ホットスポットの問題も解決してはいない。
そうした時に、意見聴衆のパブコメがされてきたが、週末に締め切って週明けからルール変更をやるなどといういい加減なことが起きないように、提出意見数に応じた最低意見考慮期間をとるとの新たな制定がされます。
 パブコメは数で決めるわけにもいきません。パブコメで寄せられた意見が正しいとも限りません。
 しかし、寄せられた意見をきちんと検討し、必要な回答を返し、その際に貴重な意見が出てくれば、必要ならばルール変更をやらなければなりません。
 パブコメに寄せられた貴重な意見がきちんと反映されたかをどうやって確認するかも問題です。ルール変更に及ぶことになれば、今回は、大臣、副大臣、政務官の政務がそれを判断するべきとなりました。一番大切なのは、進捗状況を遅滞なく公表し、国民の中にもある貴重な意見を徴集し、こうしたルール変更のようなことにも反映されなくてはならないということです。




posted by Nina at 08:18| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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