外交評論家、加瀬英明が、『ジョン・レノンはなぜ神道に惹(ひ)かれたのか』祥伝社新書でジョン・レノンは、従姉・小野洋子(オノ・ヨーコ)の夫だったと明かしている。ジョン・レノンは日本人の心と、神道に魅せられていた。
ジョンは1971年に、有名な『イマジン』という歌を発表した。
「天国なんてないと、想像してごらん。
地獄も ない
そして、宗教もない。
そしたら、みんな平和に生きられるってさ」
という歌詞がある。
『イマジン』は、神道の世界を歌っているにちがいないと、思った。
そして、そうジョンにいった。
ジョンとヨーコは靖国神社、さらに足を延ばして、伊勢神宮を参拝している。
ヨーコは明治の女のやさしい気性(きだて)と、凛とした男勝(おとこまさり)の気質を、受け継いでいる。
日本では、多くの家に神棚と仏壇が同居している。
だが、誰もそれを不思議に思うことがない。
神々が仲よく、共生しているのだ。
今日でも、日本人はこの世のことは神に、あの世のことは仏に頼んで、若い男女が結婚式をキリスト教のチャペルで挙げるというように、神々の棲み分けを行っている。
私はこのような風習を、けっして軽佻浮薄だと思わない。
日本人にとって、神々にはそれぞれ備わった霊威があって、ご利益を授かれるのだ。
ほとんどの日本人が、外国人から「あなたの宗教は何ですか?」とたずねられたら、すぐに答えることができないものだ。それも日本人の長所の一つだと、思う。
宗教を闘いの原点にしてしまうことがない、グローバルな時代になって、かつて日本人の宗教の曖昧性が揶揄されることもあったが、今や見習うべき長所でもあると認識が改められているだろう。