順天堂大学医学部教授、奥村康氏の『「まじめ」は寿命を縮める 「不良」長寿のすすめ』(宝島社新書)
を読むと、長寿になる秘訣がわかります。
誰もが、「健康で長生き」を願っています。自分の老後には自分で責任を持って、寝こまずボケず、いきいき長生きしたい。それは生まれつき私たちの身体に備わっている、免疫力をきたえることです。
どんなに強力なウィルスや病原菌に感染しても、免疫系さえしっかりしていれば発病しません。 生命力とは免疫力だそうです。中でもガン細胞やウィルスをいち早く見つけて殺してくれる、NK(ナチュラルキラー)細胞は重要です。そのNK細胞を元気に保つか?
なんと、その答えはまじめをやめ、明るくマイペースな、少々不良になることだというのです。
「不良長寿」です。
まじめすぎて融通がきかなかったり、いつも眉間にシワを寄せていたり、ストレスをためこんだり、クヨクヨ思い悩んだり。これらはすべて、NK活性を弱める原因になります。
かつてフィンランドで行われた15年にわたる追跡調査では「医者の健康管理と栄養指導に従ったまじめグループよりも、健康診断さえ受けない不良グループの方が病気にかかりにくく、長生きし、自殺も少なかった」という結果が出ています。
「不良」とは、「今」を楽しみ、よく笑う、陽気な人の事で悪人の不良ではありません。
「まじめ」人間は、自分の楽しみより「〜ねばならないこと」が多くて、ストレスを溜め込みやすい人なので、対極にいます。そして心配性な人も同カテゴリーだそうです。
1980年代に長寿世界一の座に長く君臨し、120歳で大往生した泉重千代さんは、鹿児島県の徳之島に暮らし、来客と酒をくみかわすのが無上の喜びで、黒糖焼酎のお湯割りを毎日飲んでいました。
実に社交好きでお茶目な人でした。
公式記録史上の長寿世界一は、97年に122歳で亡くなったフランス人女性のジャンヌ・カルマンさん。
南仏アルルに暮らし、117歳までタバコを吸い、好物のチョコレートは晩年に1トン贈られて、週に900gも食べていたそうです。
それに続くギネス公認の長寿世界一は、アメリカ・ペンシルバニア州のサラ・クナウスさん(99年、120歳を目前に没)。 彼女もチョコレートが大好物で、「嫌いな野菜を無理に食べないこと」が長寿の秘訣と語っています!?
120年も生きた3人がみなマイペースで、好きなお酒やタバコやチョコレートを心ゆくまで楽しんでいた、というのは愉快きわまりないデータがあると、データを真面目に取るのが少々面倒になるくらいです。
また南九州とアルルとペンシルバニアでは風土も食生活もまるで違いますから、長寿の環境やこれが絶対という長寿食などはなく、好物を明るく元気にいただくことが、一番のようです。
共通するのは、明るくたくましくマイペース、ついまりいい意味で「わがままで、やんちゃで愛されること」なんですね。
さらに、類似の調査でお達者な100歳老人たちのインタビュー集を読んだことがあります。
みんな「気分は現役」で、「苦労話も聞き出そうと思ったのに、誰も全くのってこなかった」というインタビュアーの感想もおもしろかったです。 過去にとらわれず、「今を楽しむ」そうした心意気が超長寿の秘訣なんですね。
一方に 『「非まじめ」のすすめ』という森政弘氏の本があります。
非まじめ、と不まじめとは違います。
不まじめとは、いい加減で、人に迷惑をかけたり、誠意がない人のことです。
非まじめとは、力がほどほど抜けていて、いい意味でのテキトーさや遊び心があり、しかも誠意のある人のことをいいます。 非まじめな人は、何か事が起きても、不思議にそれを乗り越える力を持っているが、不まじめな人や、逆にまじめ過ぎる人も、行き詰まってしまうことが多い。
非まじめな人は、「まじめ」も「不まじめ」も超えた人。
非まじめな人は、やりたいことをやって「今」を楽しみ、なんとかなると呑気に構えてる人。
非まじめな人は、明るくたくましくマイペース、つまりいい意味で「わがままな、やんちゃ」な人。
今年は 人生を、非まじめに、明るく、笑って、群れる羊の如く「うめ〜ぇ」などと赤白ワインを酌み交わして、元気に過ごしてみませんか。