特にPCの業界の凄まじいイノベーションが事例に取り上げられている本ですが、その企業は技術と製品を磨き、持続的のイノベーションによって製品の機能を高めますが、ある時点で一般の顧客が満足する機能水準を超えることになります。企業はさらに製品を磨いていくものの、一部の購買力がある消費者以外は振り向かず、一般的な消費者はそこそこの性能でもっと安い製品を求めます。
この段階ではモジュラー化が進み、水平展開のサプライチェーンを活用した低価格の製品が市場に提供されます。そして先行する高機能で高価格の製品の市場を奪っていきます。日本の液晶テレビの崩落のモデルそのものです。これがクリステンセンの破壊的イノベーションの問題をついた本の概要です。そしてこの低コストの製品はそれまでその製品を使うことができなかった新興国や低所得者層の大きな市場を獲得して急成長します。そして高機能で高価格の製品はプレミアムの価格を払ってくれるニッチな市場に逃げ込むことになります。
スマートフォンの世界では、 AppleがiPhoneというイノベーションを起こし機能を磨いてきました。素晴らしい、そして人々を感動させるような機能を提供してきましたが、普通のユーザはそこそこで低価格の製品を求めるようになりました。サムソンはこうしてスマートフォンの市場を獲得してきました。 Appleも伸びていますがポテンシャルとしての市場は一時サムソンに奪われたのです。そして、韓国のサムソンは世界一のスマートフォン事業を獲得しました。
ところが、そのサムソンのスマートフォンも一般の顧客から見れば既に機能は過剰です。そこに新興国、中国が破壊的イノベーションを仕掛けてきました。ハイエンド市場はAppleに握られたままで、ローエンドからの破壊的イノベーションの攻撃を受け、サムソンはその挟み撃ちにあって急速に収益を落としています。今最も伸びているスマートフォンのメーカーは中国のXiaomiです。なんと300%成長です。
さらにGoogleはインドで「Android One」というさらに低価格のスマートフォンを出しています。なんと約1万円です。急成長している中国のスマホメーカーもこのインドからの破壊的イノベーションに耐えることができるか興味深いです。
我らのソニーのスマホ事業はどうなるのでしょうか。
ちなみにAppleが強いのはアメリカと日本でヨーロッパではサムソンがシェアを取っていますが、ノキアの携帯を使っていた人たちにとって中国のスマートフォンは十分な機能だと思われるでしょう。Appleはこの破壊的イノベーションから逃れるため、AppleWatchというウェアラブル機器を発表して別な市場に逃げていく感じですが、膨大なiPhoneの収益を補うほどの市場になるかです。このローコストのスマートフォンにはあのアマゾンも触手を伸ばしています。
どんどんと、この世界のジレンマはストレス社会を燻らせていき、そしてみんな疲れ果てるのか、絶え間なく消費者に安売りの魅力で乗り換えをさせ続けるのか・・・・
ところで、我孫子に欠けていることの一つはイノベーションだけれども、それはジレンマを起さないでよいかというと、発展的な変化がないというジレンマに陥ってしまっている? 我孫子の子どもたちに、どんな未来を贈ることが出来るか、緑の街をコンクリートにするなどの無茶はしないが、挑戦する気持ちは持つべきと思うのです。
七草明け、今日はこのくらいにしておきましょう。
