ジャーナリストの池上彰氏(64)が、慰安婦問題に関する記事の一部を取り消した朝日新聞報道を批判した原稿の掲載を拒否されたとして、同紙での連載中止を申し入れていたことが2日になって報じられた。池上氏は「私自身は朝日新聞の検証を不十分だと考えていた」と述べた。池上氏は産経新聞の取材に「これまで『朝日の批判でも何でも自由に書いていい』と言われていたが、掲載を拒否され、信頼関係が崩れたと感じた」と説明している。
連載中止を申し入れたのは、朝日で毎月1回掲載されていた「池上彰の新聞ななめ読み」。池上氏は8月29日掲載分として、朝日の慰安婦報道検証や、それを受けた他紙の反応を論評する予定だった。掲載数日前に原稿を送ったところ、前日の28日に担当者から「掲載できない」と連絡があったという。池上さんはその場で連載中止を申し入れたという。
今回のコラム掲載拒否の問題をめぐっては、短文投稿サイト・ツイッターに朝日新聞記者による実名ツイートが複数投稿され、同社の対応を批判する声が相次いだ。
朝日新聞社は、社が公式に認証している実名記者アカウントを、同社のウェブサイトで紹介している(http://www.asahi.com/sns/reporter/)。記者のツイートによると、掲載拒否問題が各紙で報じられた後、「従軍慰安婦問題は知識皆無なので言及しなかったのですが、自社の対応がこの報道通りとすれば、心挫けかける。池上さんはじめ、読者や様々な方に、所属記者として心底申し訳ない思いです」(デジタル編集部記者)などと批判があがった。同記者のツイートは520回転載され(3日午後7時現在)、反響を呼んだ。
同種の発言は相次ぎ、他の記者も「報道の通りとすれば池上彰さんの原稿を掲載できないと判断した人はぜひ、紙面の信用が何に起因するのか、考えてほしい。恥ずかしく、悲しい」「夕方、このニュースを聞いて、はらわたが煮えくりかえる思いでした。極めて残念です」などと書き込んだ。発言は朝日新聞社のサイト上でも見ることができる。
このように問題が表面化したのを受け、朝日新聞から3日、一転して「掲載したい」と連絡があり、池上さんも承諾し、4日の掲載になった。
それらを受け、菅官房長官は5日午前の記者会見で、いわゆる従軍慰安婦問題を巡り、旧日本軍により「強制連行された軍用性奴隷」と断定した、1996年の国連人権委員会のクマラスワミ報告について、「朝日新聞が先般取り消した(吉田清治氏の証言に関する)記事の内容に影響を受けていることは間違いない」と述べた。
朝日新聞は8月5日朝刊で、慰安婦を「強制連行」したとする吉田氏の証言は虚偽だったとして、過去の記事を取り消した。菅氏の発言は、朝日新聞の誤報がクマラスワミ報告(国連)の根拠の一つになったとの認識を政府として示したものだ。菅氏はクマラスワミ報告について、「我が国の基本的立場や取り組みを踏まえていないことを遺憾に思っている。不適切だと言い続けてきたが、これからも政府の立場をしっかり説明していきたい」と述べた。
日本在住のケント・ギルバート氏(弁護士)が、池上彰氏の寄稿を受けて、4日のブログに次のように書いていた。
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「従軍慰安婦問題はあったのだ!」と先日まで信じ込んでいましたから、朝日新聞に完全に騙された人間の一人です。だから朝日新聞は私にも謝罪して欲しいです。保守系の友人たちは「従軍慰安婦問題なんて無かったんですよ!」と何度か私に教えてくれました。しかし私は全く聞く耳を持たなかったので、彼らは密かに私を馬鹿にしていたかも知れませんし、彼らの信用を失ったかも知れません。そのことを考えると精神的苦痛を感じるから、朝日新聞に対しては損害賠償を請求したいくらいです。
というのは冗談ですが、朝日新聞にまんまと騙された被害者が他にもいることを忘れてはいけません。韓国人です。彼らは「日本軍は韓国人女性を強制連行して従軍慰安婦(性奴隷)にした」という、朝日新聞が書いた記事を真実だと信じたからこそ、日本政府にしつこく謝罪と賠償を要求してきました。さらに、韓国の日本大使館の目の前や、アメリカ国内の複数の場所に「従軍慰安婦像」なる銅像を設置する活動も、真剣に継続して来ました。それなのに「あの記事、根拠が無かったから取り消します」の一言で済まされちゃったら、必死の努力を続けてきた韓国人(と一部の日本人弁護士)は、ただの赤っ恥じゃないですか!
国連人権委員会にまで訴えて主張を認めてもらったのは、朝日新聞が従軍慰安婦問題を「真実として報道した」という事実が最大の根拠だったんですよ?それを今さら「取り消します」っていうのは、韓国人に対するひどい裏切りです。赤っ恥をかかされた韓国人の精神的苦痛は、私とは比較になりませんよ! しかも朝日新聞のせいで、国連人権委員会の 調査内容がいい加減だったことまで一緒にバレちゃったんですよ! 国連・人権委員会に報告書を提出したクマラスワミさん(スリランカ出身)には、彼女が死んでも消せない汚点が歴史上に残っちゃったじゃないですか!
慰安婦像の製作費用とか、アメリカの上院議員や市長など政治家をこの問題に巻き込むために使ってきたロビー活動の費用とか、国連人権委員会があるジュネーブまでの出張費用とか、韓国人は地道な先行投資を相当額してきたんですよ! その
お陰で、米国内の数か所に慰安婦銅像を設置することにも成功し、世界各国に向けて「日本はひどい国でしょ?」と告げ口外交をしてきた朴槿惠大統領についても、なんて恥ずかしい思いをさせてくれたんですか!
日本人は優しくて、潔く謝ると大体のことはすぐに許しちゃうお人よしだから、購読者数が毎日確実に減っていくことさえ気にしなければ、別に(日本人とケントへの)謝罪は後回しにしてもいいと思うけれど、朝日新聞は一日も早く、韓国と韓国人に謝罪して、(こうした罪作りな記事を信じたためにかかった費用へ)賠償金も支払わないと、このままじゃ1000年恨まれますよ!
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3.11後もすぐにも韓流スターなどから義捐金が日本に送られたり、日本ファンの韓国人も観光に来るし、日本からの観光客も増えていたところだった。しかし、朴大統領の慰安婦問題の度重なる発言で、いよいよ両者の足が遠のいたのは否めない。
ことの起こりは、日本の植民地化による政策である。朝鮮でおきた独立運動に日本政府は朝鮮各地で弾圧し、銃を向けた。しかし、その事よりも、吉田清治氏の講演によって、尾ひれのついた強制連行の慰安婦の数も話が膨らんで、韓国から米国移民した多数の韓国人を巻き込んで世界中に流布されていった。吉田清治氏はフィクションであった点を裁判で認めても、その話を取材した朝日新聞の報道は今年まで訂正されることがなかった。そのために、国連、米国議会も日本への矛先を強め、朴大統領は安倍首相の顔を見る間も避けていった。この問題では、米国下院議員のマイク・ホンダ氏(カリフォルニア州選出)が執拗にロビー活動をして、日本軍が強制的に行った慰安婦の問題に謝罪することを議会に提出、2007年圧倒的多数で採択された。我孫子市議会へも、市民の陳情によって「従軍慰安婦問題の早期解決」を願う意見書を提出してほしいとの議決をした際には、久々に委員会、本議会が紛糾し、意見書提出後には街宣のグループが陳情者などをターゲットに音量を上げてヘイトスピーチともいえる事態になり、警察から連絡が入ったり、騒然となったことがある。
朴大領領で、就任直後から外交先でも強制連行の慰安婦問題と発言を繰り返してきた。マイクホンダ議員も、朴大領領も日本の新聞社による過去の取材記事は大きな根拠にされたのだろう。ケントギルバート氏のいうように、朝日新聞の誤報の影響は非常に大きい。
参照:
産経デジタル、他