2014年08月04日

お遍路さんの今日的事情

 「お遍路さん」で知られる四国八十八カ所霊場ができて、今年で1200年。空海(774〜835)ゆかりの寺院を修行僧が巡礼した遍路道は近年、外国人からの注目が急速に高まっている。

 「南アフリカ、香港、オランダ……。こんなに多くの外国人がお遍路に来るのは初めてだ」。四国の遍路文化を英語で発信する徳島文理大のデイビッド・モートン講師(45)が話す。30人ほどの外国人から「今年は四国遍路に行く」とメールが届いたという。
モートンさんは日本の歩き遍路用ガイドを英訳し、出版。すでに3版を重ね、約3千部が売れた。この本を手に、外国人が遍路に訪れるようになった。「遍路を歩いた外国人が『お接待』などの経験を口コミで広め、徐々に人気が高まってきた」。ユーチューブで遍路の動画を見て、フェイスブックで情報交換してから来日するのが、今の主流という。


 88番札所・大窪寺近くの「前山おへんろ交流サロン」(香川県さぬき市)には昨秋、歩き遍路の外国人がほぼ毎日訪れた。昨年11月にはフランスの雑誌「フィガロマガジン」の記者が来日し、今年1月、スペインの世界遺産でキリスト教の「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」と四国遍路の共通点を探る特集記事が掲載された。

 「お接待文化の素晴らしさや人と人との絆を描きたい」とドキュメンタリー映画の制作を始めたのは、フランス人女性映像作家エミリ・ベルトさん(35)だ。11年4月から49日かけて88カ所の札所を歩いたときには、道中でおにぎりやミカンのお接待を受けたり、励ましの言葉を掛けられたり……。泊まる場所がなくて困っていると、車遍路の男性が一緒に宿を探してくれたこともあった。「出身も年齢も異なる多くの人たちと出会い、温かい心に触れることができた」

 今年2月下旬から、再び札所を巡りながらカメラを回している。約2カ月かけて88カ所を歩いて撮影し、今秋に完成させる予定だ。日仏での上映をめざすベルトさんは「遍路を通じて日本の歴史や日本人の心を語りたい」と話す。

 高松市のNPO法人「遍路とおもてなしのネットワーク」は06年からスペインやフランス、ブラジルの巡礼路と交流し、10年には「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」沿いにあるスペイン・モリナセカ町に四国遍路の資料室を設けた。

 他方、3月28日朝、高松市一宮町のお遍路休憩所を管理する男性(71)が、壁に無断で貼られた紙を見つけた。紙には「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」「最近、礼儀しらずな朝鮮人達が、気持ち悪いシールを、四国中に貼り回っています。『日本の遍路道』を守る為、見つけ次第、はがしましょう」と書かれ、「日本の遍路道を守ろう会」という団体名が記されていた。
 通学路も近く、男性は「子供たちが見たら大変だ」とすぐにはがしたといい、「なぜ、わざわざこんなことをするのか。海外の人を排除しようとする人がいることが情けない」と憤る。他で見つかった貼り紙も同様の文章が書かれ、休憩所に置かれた寄せ書きノートに書かれていたケースもあった。執拗な外国人排斥の文言の矛先は、お遍路を続けながら道しるべシールを貼っていたソウル市在住の女性への中傷とみられ、施設の管理者などが見つけ次第はがしている。
 お遍路は、弘法大師とともに歩く「同行二人(どうぎょうににん)」の思いのもと、巡礼者を広く受け入れてきたお接待の心に支えられてきた。香川県内の札所寺院の男性僧侶は「貼り紙は、日本の誇れる遍路文化を汚すことにもなる。悲しいです」と話した。
 道しるべシール貼りは、最近にパソコンの利用でこうした作業がやりやすくなったこともあって、増加していた事情がある。しかし、排斥文の貼り紙のキッカケは、昨年12月には、四国八十八ヶ所霊場会から外国人女性として初めてお遍路さんの「先達」に公認されてからだった。その女性は、もっと韓国でも、友好的に日本を理解できるお遍路にきてもらおうと、矢印で方向を示すなどの道案内シールを、休憩所などで許可をもらい貼っていた。そのことはネット上で電柱などに貼られたシールの画像が公開され批判の標的となった。さらには、四国4県の屋外広告物条例の担当課にメールやファクスで「このシールは条例違反ではないか」という意見が寄せられた。
 ソウルの女性は平成22年3月に、インターネットなどで四国遍路を知り、亡くなった父の供養をしようとお遍路に挑戦。優しく声をかけてくれる地元の「お接待」に感動し、春の四国遍路が恒例となった。交流を通じて日本語も上達し、さらに韓国人にもお遍路さんについて知らせたいと考えての事だった。香川県都市計画課は条例対象区域で女性のシールを確認し、昨年8月、メールを通じ注意。女性は「ほかのシールもあったので貼ってしまった。条例違反とは知らなかった、もう貼らない」と返答したという。
 これまでこうした道しるべの貼り紙は問題になったことはなかったが、ネットでこの女性だけが狙い撃ちにされた形だ。その貼り紙の排斥文については、各県知事や関係団体が批判。各県警も軽犯罪法違反の可能性があるとみて調べており、各地の法務局は人権侵犯の疑いがあるとして、貼り紙をした人物が判明すれば注意や告発の措置をとることを検討している。現在、四国はお遍路の世界遺産登録を目指していることから、「一定の基準を作らないと、登録にマイナスになる」といった危惧が寄せられた。一方、香川県の文化振興課によると、お遍路の案内について、世界遺産登録に備えて統一サインを作ることを現在協議しているということだ。

参照:
朝日デジタル 4/6
産経ニュース 4/24 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140424/waf14042407000002-n1.htm
posted by Nina at 12:50| 千葉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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