閣議決定により憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認した政府の手続きについて、福島県内59市町村長のうち約半数に当たる30人が「適切でない」と判断していることが、福島民報社のアンケートで分かった。理由として議論が不足しており、民意が反映されていないなどとする声が上がった。「適切」としたのは4人にとどまった。
アンケートは集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を受けて実施した。
閣議決定による解釈変更について「適切でない」と答えた市町村長からは「憲法解釈は国民の議論と国会の議論が必要不可欠」(馬場有浪江町長)、「解釈変更では、国民の民意が反映されたと思えない」(菅野典雄飯舘村長)などの意見が出た。
橋本克也須賀川市長は集団的自衛権の行使容認には賛成の立場だが、「解釈変更は、さらなる変更の可能性を感じさせ、(国民の)不安や不信を招く」として憲法改正が必要との見解を示した。
行使容認に「反対」は3割弱の15人、「賛成」は2割弱の9人だった。「分からない」と「その他」がそれぞれ17人に上った。
反対の理由を複数回答で聞いたところ、15人のうち10人が「他国の戦争に巻き込まれる」、5人が「集団的自衛権を行使しなくても国際貢献できる」と答えた。賛成した9人のうち4人が「日本の防衛に役立つから」との理由を挙げた。
「その他」の17人からは「地方自治体の一首長としては答える立場にない」(清水敏男いわき市長)、「十分な議論が尽くされていないため判断は保留」(鈴木和夫白河市長)などの声が寄せられた。
政府は集団的自衛権の適用範囲を「国民の権利が根底から覆される明白な危機がある場合」としている。これに対し、4割弱の22人が容認後に適用範囲が「広がる可能性がある」と回答。「いったん行使を容認すれば拡大していくことは必至。過去の戦争体験から学ぶべき」(伊藤勝西会津町長)などの指摘があった。「範囲が広がらない」としたのは6人で約1割だった。
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福島民報 7月6日(日)11時10分配信