反政府デモが続くウクライナで22日、政権が、事実上の崩壊状態に陥った。
ウクライナは、歴史的に、ロシアに近い勢力の東側と、ヨーロッパ志向の強い勢力の西側とに大きく二分される。
こうした中、事態は、東側を地盤とするヤヌコビッチ大統領が2013年11月、EU(欧州連合)との関係を強化する連合協定の署名を見送ったことに端を発する。
さらに、大統領は12月、ロシアから150億ドルの資金援助を受け取ることで合意。
そして、デモを規制する法律を制定すると、首都キエフを中心に、反政権デモは一気に激化した。
大統領は、混乱の収拾を図ろうとするが、22日になって事態は急転、ヤヌコビッチ政権は崩壊し、政敵のティモシェンコ元首相は釈放された。
ティモシェンコ元首相は「ウクライナは自由な人々のものです! あなた方が与えてくれました!」と述べた。
ヤヌコビッチ大統領の政敵、ティモシェンコ元首相は、職権乱用の罪などで収監されていたが、議会での刑法改正を受けて、5年ぶりに釈放され、5月に行われる大統領選への出馬に意欲を示した。
ティモシェンコ元首相は「ウクライナに栄光を!」と述べた。
ウクライナ議会は22日、首都キエフを離れたヤヌコビッチ大統領に対し、職務不履行を理由とした解任と、5月25日に大統領選挙を行うことを決議した。
さらに、大統領府などの施設が、野党勢力の管理下に置かれ、政権は崩壊状態に陥った。
一方のヤヌコビッチ大統領は、自身の支持基盤でもある、東部の都市ハリコフでテレビに出演し、野党との対決姿勢をあらわにした。
ヤヌコビッチ大統領は、「わたしは国を出るつもりはない。辞任するつもりもない」と述べた。
強気な姿勢を見せる大統領だが、地元メディアは、大統領が、東部ドネツクの空港からチャーター便で出国しようとして、国境警備当局に認められなかったと報じ、国外脱出を図った可能性があると指摘した。
こうした中、キエフ郊外にあるヤヌコビッチ大統領の邸宅では、野党支持者が集合。
近くの港に停泊する、大統領所有のヨットの様子が明らかになった。
シャンデリアや、金色に輝く調度品の数々。
テーブルには、大統領の写真ラベルが貼られたブランデーが並んでいた。
豪華なトイレもあれば、ティッシュボックスやごみ箱も金色。
ぜいたくのかぎりを尽くした大統領のヨットに、市民は、驚きを隠せない様子だった。
EUのアシュトン上級代表が、「重要な前進」とするなど、欧米各国が評価する一方、ロシアのラブロフ外相は、アメリカのケリー国務長官との電話会談で、反政権派を非難していて、今後、事態が収束するか、先行きは不透明となっている。
出典:
フジテレビ系(FNN) 2月23日(日)18時41分配信