一年前、1月 南米メキシコで豚インフルエンザが猛威を振い、世界的大流行(パンデミック)になる恐れがあると、WHOから表明されました。
乳幼児死亡率がアメリカやイギリスでも1000人あたり11人であるのに、キューバは6.5人(日本は1,000人当たり2.8人)。南米諸国の平均寿命を見てみると、グアテマラ57歳、メキシコ47歳、アルゼンチン36歳、チリ32歳なのに、キューバは76歳である。 死亡原因も心臓病、悪性腫瘍、脳血管疾患、不慮の事故という順になっており、先進国と同レベル、エイズワクチンの研究水準でも他の先進諸国と肩を並べる。住民169人あたり一人の医師がいる換算で、アメリカでも405人、日本も520人に1人なのだから、世界最高水準の医療といっても過言ではない。特に、プライマリ・ヘルス・ケア、健康教育と予防が重視されたのだ。その為、医学部は無料で留学生(アメリカ人も含む)も無料である。被災地への医師の海外派遣も積極的に行っている。これらは、マイケル・ムーア監督の映画『Sickoシッコ』で紹介された。映画の中で、米国の医療制度に見捨てられた患者さんたちを引き連れてムーアが向かうのが、キューバの病院です。保険金の支払拒否をおこない、利益を上げる営利主義一辺倒の医療保険会社や製薬会社。映画では、それに癒着、取り込まれた政治家(アメリカではかつて民主党のヒラリー・クリントン議員がファーストレディとしての立場(当時)から公的医療皆保険制度の整備を求め、議会の反対により頓挫したことがある)という構造を暴き、事実上、崩壊に瀕している状況のアメリカ医療制度に対して、イギリス、フランス、カナダ、キューバなどの医療制度と対比させるなど、これまで公然と触れられることの少なかった米国医療の暗部を赤裸々に描き出している。
今、キューバでは、ヘルス・ツーリズムが主要な外貨獲得源になっています。ラテンアメリカ人のみならず、ヨーロッパ人までもが、キューバ人医師の優れた評判やその治療費の安さ、そして美しいビーチを要した保養地に魅了されキューバにやって来る。 その他、福祉施設、老人ホームも次々に作られて、21世紀の高齢化社会へ向けての準備も着々と進められている。キューバ革命後に最も力を注いだのはこうした悲惨な医療事情、とりわけ恩恵に与かれなかった貧しい農村注民に医療サービスを提供することであった。カストロも語っている。 1959年訪日した際は、広島の平和記念碑を訪れている。
国境なき医師団は独立・中立・公平の原則に基づく人道援助活動が評価され、1999年度のノーベル平和賞を受賞した。このため、遺産や相続財産を有意義に活用するために、国境なき医師団日本への寄付をする方も増えているのだという。http://www.msf.or.jp/donate/donate.html
一方で、メキシコは貧富の差が大きい。新型インフルエンザにも対応できるようなメキシコ市内の設備の整った私立病院では、救急車で運ばれると、まず3000ペソ(約2万3000円)を支払わないと治療してくれない例もある。月収6000ペソ程度の人も多く、手が届かない。政府は、いまだに感染の全体像をつかめていない。政府の対応が遅いとの記者の批判に保健相は「世界初のケースだからだ」と話す。情報提供も混乱している。メキシコ市長が独自に市内の新たな死者数を発表。政府発表と食い違いが起こった。また、保健相が記者会見を開かず、地元テレビ1社に患者・死者数を明らかにするケースが続いている。
今年、メキシコ・アメリカを始めとして新型(ブタ)インフルエンザの感染は、欧州、ニュージーランド、中東、南米にも広がり、WHO(世界保健機構)においては警戒レベル「フェーズ5」(人から人への感染が2か国以上でおきている状態)とし、「フェーズ6」(世界的な大流行《パンデミック》)への可能性もあり得ると言われているというが、マスメディアではさほど報道がないように思うがどうなのだろう。