医療保険改革(オバマケア)の本格施行の1年先送りを盛り込んだ暫定予算案を下院は先に可決したが、上院は30日否決となった影響からだ。
閉鎖に伴い、国防や警察、救急医療など緊急性が高く国民の安全に直結した業務は維持されるが、行政サービスは縮小される。パスポートやビザの発給が滞る恐れがあり、観光客に人気の高い国立公園や博物館が閉鎖されるなど、米国のみならず各国にも影響が広がりそうだ。
自分たちこそがアメリカを大事にしているし、自分たちこそがアメリカの価値観を代弁していると主張するティーパーティーは、これでは、米国の行く末を見誤っているのではないか。医療保険改革はアメリカの国の法律だ。先頭に立って改革法案を推進した大統領は、法案成立後に改めて再選された。
共和党はこれまで40回以上にわたって法律を撤廃させようとして、そのために憲法に定められている議会手続きは、野党・共和党の思うままにはならない。民主主義においては、「政府の三権の1つにおける1つの院で、1つの党の1つの派閥」だが、それを楯に議会の停滞をさせるなどを起したのみならず、国民生活を混乱させている。オバマ氏が主張する予算は、特に金がかかりすぎるわけでもない。反対を唱える勢力の主張によって、公共の施設が閉鎖となってしまうのだった。議論の対象は少なくとも表向きは予算だったはずだが、その予算が議会の数の原理を楯に、それが暫定予算だろうと、主張の通りの内容でないなら絶対に議会を通させないとの強硬な主張だった。あまりに常軌を逸しているとの批判がでて当然ではないか。そういえば、小さいながら、近隣の自治体の状況が似ているこう着状態に陥っていた事例を思い出させる。民主主義とは、ねじれが解消できないでいると、このような例が起き、無駄な時間に耐えなくてはならないことも、現実に起きるのだと思う次第だ。
そこへいくと、このところの日本の首相は、国民に、議会に、強力なメッセージを向けて走っている。
最近の米国訪問で、NY証券取引所で行ったスピーチは極めつけ「Buy my Abenomix」で、米国人聴衆をも沸かせた。