中国の茶藝では、特に香りを大切にする。聞香杯と茶杯の小さな二つの器がセットで出されることが多い。聞香杯は細長い香りを楽しむ器で、お茶は小さな湯呑用(日本の半分くらいの大きさ)の茶杯に移してから飲む。 普通は最初にお茶が入っている聞香杯の方から茶杯に移して、移した後の聞香杯で残り香りをゆっくり楽しむのが風情。
その聞香杯の香りの楽しみ方は、聞香杯を手の中にかくれるように握り込み、左手で聞香杯を隠すようにおおって鼻の方に持っていく。そうやって聞香杯からただよい、あふれてくる香りを楽しむ。ままごとのようなサイズの器で、中国にしては、いじらしい感じのお茶のしきたりがあったのだ。このお茶の楽しみが、日本に伝わると、朝鮮陶器の井戸茶碗をこよなく愛した茶人たちが、様々な道具仕立てで日本の茶道が形作られ、岡倉天心などはThe book of Teaという本を表したので、日本の茶道は世界的に認識されていったのは興味深い。
日本における茶も、もともとは中国から禅とともに輸入されたものでした。臨済宗の栄西から始まり、一休禅師によって「茶禅一味」という美的鑑賞と宗教が一体となり発達、村田珠光(奈良の僧)、武野紹鴎らにとって侘茶(わびちゃ)が創始されたということです。
しかしながら、柳宗悦の著書「民藝四十年/利休と私」によれば・・・「寂び」とはただ寂びしみということではなく、仏法の言葉であった、本来は凡ゆる執著を去る様をいうのだ。「茶美」は詮ずるに「寂の美」である。これをやさしく「貧の美」といってもよい。今なら分かりやすく「簡素の美」とでもいうかも知れぬ。かかる美を味わう茶人を数寄者といったが「奇」とは足らざる様を指すので、足らざるに足るを知る人の悦びを味わったのである・・・と結んでいます。
利休と遠州を激しく非難したとされることを柳本人は否定しますが、利休によって茶道そのものが駄目になったとも捉えられる表現が出てきます。一般的には、利休によって侘び寂びが成就されたわけでしたが、人間利休は俗な事が図々しく平気ででき、人一倍権力に固執し、秀吉によって切腹させられたという歴史的事実は、兎角秀吉を悪者にしがちだが、利休は秀吉との権力闘争になるべくして敗れたとみたのです。時の為政者と結びついた茶道は、所詮金持ちの道楽にしか過ぎず、茶道具全てが権威主義と化してしまったと言うことは好ましくないと言おうとしたようです。
さて、キンモクセイの中国茶・桂花茶は、香りが濃厚で長い間持続し、かつ高尚、上品だとされて緑茶、紅茶、ウーロン茶によい香を付けることができるとされています。広西桂林の桂花焙青(緑茶)、福建安渓の桂花烏龍、四川北碚の桂花紅茶などは桂花茶の芳しい香りを付けてお茶のこくのある風味を際立たせます。このように桂花茶は独特の風格がある特産品として国内外に愛好者がいます。
桂花茶は近年日本や東南アジアでの需要がふえて、取引価格はは品質の良い高級ウーロン茶を上回ることもあるそうです。特に烏龍茶と紅茶に合わせる研究開発が成功して、桂花烏龍茶、桂花紅碎茶(紅茶)などの輸出や国外販売の新しいお茶の品種ができました。
緑茶と蜂蜜との金木犀のブレンド
1.グラスなどの茶器に桂花茶と緑茶をいれて熱湯をそそぎます。
2.約3分ほどしてから蜂蜜をいれてすぐいただけます。すこしさましてから氷を浮かせた冷茶はさわやかで暑気払いに最適です。 温かい桂花茶は健胃・整腸の作用があり、口臭もおさえるそうです。
3.桂花茶を10gほどの多いめにつかって菊花をブレンドすれば油をおろして ダイエットなるそうです。
紅茶とブレンドするときは桂花茶3gにたいして紅茶1gが適当です。 しかし、紅茶にレモンを添えるように紅茶を主にするときは反対の割合にします。
中国緑茶の場合、蓋付きの湯飲みがあれば、湯飲みに茶葉をいれて蓋をするだけで飲める。中国では、インスタントコーヒーのガラス瓶に茶葉をいれて持ち歩き、飲むときに熱い湯を入れて飲んでいる人も多いのも、発見ではないでしょうか。日本では、マグカップに茶こしがセットされた便利なものも出てきました。秋の週末に、日中の歴史を思いめぐらし、ゆっくりお茶でもどうでしょうか。