東京電力は、福島第1原発の廃炉に備えた放射能汚染水対策などの費用として、新たに1兆円を確保する方針を表明した。これは、安倍首相の強い要請を受けてのことで、東電の広瀬直己社長は、今後10年程度で、コストダウンや設備投資の抑制などで資金を捻出すると説明している。ただ、東電は既に大規模な合理化を実施中。さらなる資金確保が可能かは不透明な上、巨額の新たな負担は経営再建にとって重荷となる。東電の経営状態が厳しさを増した場合、電気料金の再値上げも現実味を帯びそうだ。
電気料金の値上げを巡って、東京電力が経済産業省に提示した料金の収益構造の概要が22日分かった。
それによると、2006〜10年度の5年間の平均で電気事業の利益の9割強を家庭向けなど「規制部門」から稼いでいる。
家庭向けの料金制度は発電コストを積み上げた原価を元に料金が決まるが、算定方法の見直しを求める声が改めて強まりそうだ。
23日に開かれる「電気料金審査専門委員会」の第2回会合で提示される資料によると、東電が販売した電力量2896億キロ・ワット時のうち家庭向けは38%、大口向けが62%だ。
売上高でみると、電気事業収入4兆9612億円のうち家庭向けは49%、大口向けは51%とほぼ同じ比率だ。
だが、1537億円の利益のうち家庭向けは91%、大口向けは9%になっている。つまり、電力量で4割弱を販売している家庭向けから9割の利益を稼ぎ出している構図だ。
東電管内は、ガス会社や石油元売りなどが特定規模電気事業者(PPS=新電力)として電力小売りを手掛けており、大口向け市場は比較的、競争が激しい。値下げを強いられるため、家庭向けで利益を確保しようとしていたとみられる。
ようやく家庭向け電力料金が世界的に割高なのか理由が明らかになった。
理由は、電気料金に利益も上乗せできる総括原価方式という電気料金システムと企業向けだけが電気料金自由化という2つの制度規制があるためである。
東京電力が申請した家庭向け電気料金値上げについて検討する「電気料金審査専門委員会」を開き、経済産業省が報告したことで判明した。
経済産業省が全国の電力10社で電力販売の収益構造を調べたところ、2006年度〜2010年度の5年間の全社平均で家庭向け販売電力量の割合が38%しかないのに電気事業利益が69%を上げていたのである。
一方、大口の企業向けは販売電力量の割合が62%を占めるのに電気事業利益は31%に止まったのである。
発電所を作れば作るほど、核燃料を持てば持つほど利益が出ることから原子力発電所はまさに一石二鳥で経費が増え利益を生む施設と言える。民間企業であれば自由競争という環境で、少しでも利益を生み出すために、必死になってコストを削減するために経営努力をするのだが、電力会社を電力需給を無視した暴走に駆り立てる構造をつくっていった。
金の成る原発が、電力需要が十分賄えるのに電力供給しかデータを出さず、立地自治体に金をばらまいてまで建設させる理由になったことがようやく白日の下に見えてきたのだ。
参考:2012年5月23日 読売新聞
http://ameblo.jp/shimarny/entry-11258538137.html