キャメロン英首相が2月、インドを訪れ、植民地時代の1919年に北部パンジャブ州で起きた「アムリトサル虐殺事件」の現地で犠牲者の慰霊碑に参拝した。この事件は集会のインド人群衆に英軍が発砲し数百人の死者が出たもので、インド独立運動の大きなきっかけになったものだ。
英首相の現地訪問は初めてでキャメロン首相は慰霊碑に献花し「英国史において深く恥ずべき出来事。われわれは決して忘れてはならない」と記帳したが「謝罪」はしなかったという。
キャメロン首相は謝罪しなかったことについて「私が生まれる40年以上も前に起こったことにどう対処すべきなのか。私がすべきことは歴史をさかのぼって謝罪できることを探すのではなく、起きたことについて敬意と理解を示すことだ」と述べたという。
フランスのオランド大統領も昨年12月、旧フランス植民地のアルジェリアを独立50周年を機に訪問し議会で演説した。演説は「われわれは植民地主義という残虐で不公正な制度の下で暴力、不当行為、虐殺、拷問などの忌まわしい事件を引き起こし、多くの苦痛をもたらした記憶を尊重する義務がある」と述べたが、ついに謝罪の言葉はなかったという。
これはエリザベス女王のインド訪問やミッテラン仏大統領のベトナム訪問、オランダのベアトリックス女王のインドネシア訪問の時も同じだった。
出典:
産経新聞 2013/03/16 15:06更新