戦前の徴兵忌避の実態について、ほとんど知られていません。神田文人さん(横浜市立大学 名誉教授)の『昭和・平成現代史年表』(小学館)は、年表のベストセラーにもなっており、徴兵忌避の研究にも目を向けた資料ともなっています。
この文献は、戦前の全国と、千葉県での徴兵忌避の実態を細かい数字を挙げて報告しており、その中で神田さんは、全国的にも、千葉県内をとっても、海に面し、漁港のある地域に徴兵忌避者が特に多いという事実をあげ、「これは徴兵を遁れた者が 海上を船で脱出したことを示している証拠と思える」という興味深い指摘をしています。神田さんは、この徴兵忌避問題に強い関心を抱き、今後の中心的研究テーマとして本格的に取り組もうとしていた方ですが、残念ながらガンで急逝されました。このテーマを引き継いで、調査、研究をされる若い研究者の方が出てくることを強く期待します。
文献は、2004年3月に出た『千葉県史研究』第12号に掲載された 「徴兵忌避と千葉県」 という論文で、脱走兵援助に関する文献 の中の「(4)戦前の兵役拒否・徴兵忌避などの文献」にPDFファイルとして掲載がありました。