改選数が2から1に減り、全国で唯一、自民と民主の現職同士による一騎打ちとなった福島選挙区について、朝日新聞の報道が次のようにされていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
午後8時の時報とともに自民現職の森雅子氏(48)の当確のニュースが流れると、いわき市の選挙事務所はどよめきと拍手に包まれた。森氏は事務所に現れ、支持者に深々と頭を下げた。
森氏は駆けつけた根本匠復興相(62)と握手し、約250人の支持者を前に「震災と原発事故の被災地である福島県から唯一選ばれた参院議員として、必ずこの福島を再生して参る覚悟です」。一言一言、かみしめるように話した。
東京電力福島第1原発事故により約15万人が避難生活を続ける中、自民福島県連は「県内の原発全10基の廃炉」を独自に公約。原発再稼働に積極的な党本部との「ねじれ」が生じ、森氏は選挙戦で再稼働の是非についてほぼ封印した。
同県富岡町から避難していわき市の仮設住宅で暮らす会社員、関根光子さん(55)は「再稼働は雇用問題でもある。候補者自身の考えをはっきり示してほしかった」。同じ富岡町の主婦(36)は「原発事故が収束していないのに再稼働ありきはおかしい。議論が深まらなかったのは残念」と話した。
森氏は当確後のインタビューで「原子力規制委員会の規制基準に『地元の理解を得る』との項目があり、県内廃炉は政府の方針と矛盾しない」と説明。その上で「衆参のねじれが解消されることで復興政策をさらに加速できる」と語った。
●朝日新聞デジタル 7月22日(月)10時48分配信の報道では、「なぜ原発やめない」「今回は迷った」…福島の有権者として、次のような記事があった。
福島県内陸の会津若松市にある大熊町役場。投票所には、各地の避難先から続々と町民が訪れた。
渡部重達さん(72)は、約100キロ離れた福島市から知人の車できた。「いつも以上に、今回は相当迷った」。決断は投票直前。「数が多くて強い政党のほうが復興を進めてくれるだろう」と、現政権に期待を込めた。
原発事故の被害に苦しむ福島で、自民を選んだ人たちの心境は複雑だ。
双葉町から福島市に避難している天野喜和子さん(57)は悩みながら選挙区で自民に入れた。原発をやめると言わない自民は「全く理解できない」。だが、民主への信頼も薄れた。
自民が政権復帰して以降、復興政策には目に見える成果がない。「衆参のねじれで思い切った政策ができないなら、解消すれば進むのかな、という期待の一票」という。比例区は原発政策に慎重な公明を選び、自分を納得させたという。
いわき市に避難中の楢葉町の菊田洋子さん(66)も同じ思いで、選挙区は自民、比例区で公明に投じた。「賠償を充実させ、復興を加速させてほしい」
福島第一原発から約12キロの自宅は新築1カ月半で津波に流された。同居していた長男(41)は、工場の閉鎖で妻子を残し茨城県に単身赴任。将来の不安ばかりが募る。経済政策を強調する首相の視界からは被災地が消えている気がする。「でも、政権を持つ自民に頼るしかない。もう無駄に時間を過ごしたくない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昨年、福島の衆議院議員(民主)・太田和美氏は議席を失い、今回は千葉に戻って参院選(生活)に出馬した。千葉では唯一の女性候補、かつては民主のジャンヌダルクと言われたが、地元(松戸)からの風で状況は変えられなかった。