9月に米在日大使として就任するだろうと言われているキャロライン・ケネディーが担うのは、成熟した日米関係の舵取りだ。共通の価値観を持ち、強固な絆を築くようになった日米両国だが、今日では多くの課題にも直面している。
歴史と伝統に基づき、米国の大統領は日本というアジア太平洋における重要な同盟国に、「重要人物」を派遣することを慣例化している。キャロライン氏の輝かしい出身、オバマ大統領との並々ならぬ友情は、日本人に重視された感覚を与えている。
正式に発表されていない人事に対して、日本各界は待ち切れないとばかりに賛歌をうたい始めている。菅義偉官房長官は4月の時点で、「(キャロライン氏の駐日大使就任は)大きな話題になり、(日本国民の米国に対する)親近感を深めることができるだろう」と語った。NHKは13日、結婚したばかりのキャロライン氏は1986年、日本をハネムーンの目的地に選択したと伝えた。
一方で、日本が参加を表明したTPP(環太平洋経済連携協定)では日本国内で複雑な利害対立が生じ、安全保障面では普天間基地の移設問題も解決されないまま。尖閣諸島をめぐる日中の対立は米政府にとっても悩みの種だ。
現在55歳のキャロラインはハーバード大学とコロンビア大学法科大学院を卒業し、弁護士資格を持つ。政治家としての経験はないが、政治を間近に見ながら育った。教育・文化活動に携わるほか、作家としても活動している。父ケネディが主導した日米の同盟関係は、キャロラインによって引き継がれ、さらに文化や教育、芸術などのより広範な分野にまで広げられるかもしれない。
彼女が駐日大使として日米関係をどんな方向に導くにしろ、50年前に父や叔父、日米の関係者たちが築き上げた強固な基盤が、キャロラインの強力な助けになるのは間違いない。