元慰安婦と名乗る生き証人は、なかなか表明されることはありません。例えば、ドイツ軍の敗退後に、慰安婦たちは裏切り者扱いされてリンチ、告発されて殺されたからで、それを逃れた人たちは、ひっそりと過去に口をつぐんで生きていたということからも事情はわかります。それでは、日韓の間にくすぶるこの慰安婦問題について、何が解明する糸口になり、何を目標にこの解決を探ることが出来るのでしょうか。軍が介入したと認めるか認めないかなのか、慰安婦の補償なのか、帝国日本の悪行仔細を未来永劫にわたり追及することに日韓の歴史研究者が血道をあげ猛反を促すことなのか、と言う点からだろうか。橋下市長の発言は、問責決議に発展、それは参議院選にも影響が出ると議会内の賛否まで変わる事態になりました。そこで、ネット検索してこれまでにあった、戦時下の同様な例を検索してみましたので、ご参考までに転載しておきます。
こうした問題を見過ごさずに、今の時代だから再発しないように戦闘行為を喰い止めたいとの女性学者、記者たちの活動は尊いと思いました。今、所属している研究科には海外からの留学が半分以上、しかも女性が多い。若い彼女たちは、日本の政治、メディアの動きに関心をもっている。男性と違う視点での研究が期待できるのは楽しみです。
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◎「ナチズムと強制売春 強制収容所特別棟の女性たち」
クリスタ・パウル/イエミン恵子 他/明石書店/1996
強制収容所内に設置されていた売春施設について明らかにする元囚人たちの報告、証言。また収容所以外の地に設置された国防軍用売春施設についても書かれている。ドイツでは斡旋を伴う売春を完全に合法化し、売春地帯を一定の場所に隔離し、政府が性病管理をすることによって性病が減少したとされており、タイの公娼制度はドイツを参考にしたといわれる。
「シュミット夫人たちの戦争 第二次世界大戦下のドイツ女性」
コリン・タウンゼント、アイリーン・タウンゼント編/グループ・サイファー訳/近代文藝社/1995
1989年にイギリスで出版された「War Wives」(第二次世界大戦を体験した英・独の94人の女性の話を集めた証言集)のドイツ女性の部分を訳出したもの。ドイツ女性の証言である本書には、ポーランドへ送られるらしいユダヤ人が長い列を作って通り過ぎていく様子(1942年)、進軍してきたロシア兵による強姦、ドイツ敗北に伴う東部での報復行為(1945年)など、「銃後」ではない戦争体験の証言もおさめられています。イギリス女性の部分は「スミス夫人たちの戦争」として1993年に翻訳・出版されています。
◎大戦中の欧州では米兵、仏女性を性的はけ口にレイプも多発
米ウィスコンシン大学のメアリー・ロバーツ教授(歴史学)が著した「兵士たちは何をしたのか−第2次大戦時のフランスにおける性と米兵」が、6月に刊行されることが分かった。
第2次世界大戦中、ノルマンディーに上陸しフランスに進撃した米軍兵士の多くが、レイプなどトラブルの種になっていたことを示す研究書で、ナチス・ドイツからの欧州解放の立役者となった米軍の影の部分に光を当てたものとして注目される。
この本は、米仏両国の資料を分析したもので、同教授によれば、米軍進駐後のフランスでは、公園や廃虚などさまざまな場所で米兵が性行為を行っている姿が見られた。レイプも多発し、数百件が報告された。米兵による買春もあった。フランス女性たちは既婚者でも米兵にしつこく誘われ、ある住民は「ドイツ占領中は男たちが隠れなければならなかったが、米兵が来た後は女性を隠さねばならない」と言っていたという。当時のある市長は駐留米軍幹部に苦情を寄せたが、問題は改善しなかった。(【ワシントンAFP=時事】2013/05/26-19:29)
◎戦時下において各国軍隊による敵国女性へのレイプが少なからず発生した。
ボスニア紛争は、第二次世界大戦後のヨーロッパで最悪の民族紛争とされています。
セルビア人勢力は、ボシュニャク人のセルビア人虐殺に対する報復として、スレブレニツァに侵攻。一人残らず虐殺し、残された女子に集団レイプを行い、強制収用し、出産せざるを得ない状況に追い込んだと言われています。
◎第二次世界大戦以降では、アメリカ、ソ連、ドイツ、日本による大規模な強姦があったとされている。
終戦直後の被占領地域において、ソ連軍(流刑囚)によるドイツ人女性や日本人女性へのレイプが多発した。
また朝鮮半島において、朝鮮人やソ連兵、中国人による日本人女性(引揚者)へのレイプ被害が多発した。
近代の日本において、米軍に所属する将兵による強姦事件が多発している。沖縄県では、1972年の本土復帰以降、米軍の強姦事件が、明るみに出ているだけで120件以上の発生している。
◎ベトナム戦争中、アメリカ軍兵士によるベトナム人女性の強姦、買春も多発し、混血児が多数存在している。また韓国軍兵士やビジネスマンによる、レイプ、買春によって多数の混血児(ライタイハン)が生まれ問題になっている(数については1千5百〜3万と諸説有。また9割は韓国人ビジネスマンとの子との指摘もある)。1998年に当時の金大中大統領はハンギョレ新聞の報道を受けてこれらのベトナム戦争に於ける韓国軍の残虐行為に対する謝罪の意を訪韓中のベトナム首脳に表し、また補償の開始を命じた。だが、反共の野党ハンナラ党の反対もあって現在も補償は全く進んでいない。
◎1990年サダム・フセイン軍はクウェート女性を襲い、その他、1994年ルワンダではフツ族軍がツチ族女性を、などの事実が存在する。特に、1991-1995年のボスニアではセルビア人民兵がムスリム女性(ボシュニャク人女性)に対するレイプや強制出産などが行われ、第二次世界大戦後のヨーロッパで最悪の紛争となった。
その状況について、NHKのドキュメンタリー番組では、それまでのセルビア人とクロアチア人、ボシュニャク人の個人的な関係は、全く良好なものだった。大みそかにお互いの家に行き来し、一緒に新年を祝ったり、結婚式に見届人として招待されるほどの友人関係にあった。しかし、戦争で変わった。番組に映っていた女性の例は、余りにも人間のむごさを如実に表していた。その女性の家には、父親が息子のようにかわいがっていた近所の若い青年が良く遊びに来ていた。昼食を一緒に取ったり、家族のように接していた。しかし、セルビアとの紛争が勃発して少しすると、いきなり家のドアを蹴破ってセルビア兵が家に押し入ってきた。そして、そのドアをけ破ったのは、その父親が可愛がっていた青年だった。その青年は、今までには見せたことがないような暴力的な振る舞いで、父親の目の前で女性をレイプし、父親をその女性の目の前で撃ち殺し、力ずくでその女性を抱えて振り向くと、今度はそのまま銃口を妹に向けて何の躊躇もなく引き金を引いた。それと同じようなことが、民族浄化の名の元にあっちこっちで平気に行われた。また、家政婦兼性奴として連れていかれた女性の告白は、三人連れて行かれたうちの一番年の若い十二歳の女の子は、その兵士が飽きた頃に中古のぼろトラックと三百ドルで売り飛ばされ、未だに行方が分からないそうだ。人としてではなく、全く、物や家畜としての扱いであったことが伝わる。
チトー政権下の旧ユーゴはスロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアの6つの共和国と、セルビア共和国内のヴォイヴォディナとコソヴォの2つの自治州によって構成され、多民族国家で「7つの隣国、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字により構成される1つの国」と表現されるくらい複雑な国。 チトーが生きてる間は1つの国として維持していたものの、チトー死後あっと言う間に崩壊。(サラエボオリンピックが行なわれた1980年代はまだ安定を保ってた。)
1990年代の混乱にあって凄惨を極めたのがボスニア紛争。
ボスニア・ヘルツェゴビナにはセルビア人(民族構成比約30%)・クロアチア人(民族構成比約20%)・ボシュニャク人(民族構成比約45%)が居て、それぞれ正教会・カトリック・イスラムを信仰するという旧ユーゴの中でも複雑な民族構成。そこにボシュニャック人も加わり一層話が複雑になっていき、大量の難民が発生・民族浄化等が行われたのです。
ルワンダやソマリアと違って紛争地域がヨーロッパだったこと・争ってるのが白人同士ということもあり国連軍の介入は素早かった。 『ルワンダの涙』で女性記者が、西欧社会にとっては感情移入しやすく視聴率も取れからなのかメディアも積極的に現地取材します。そのお陰という言い方は御幣があるかもしれないけれど、アフリカの紛争よりも認知度は高いし、その当時の情報量も圧倒的に多いですという。
◎安秉直ソウル大学名誉教授が、2006年12月6日韓国のMBCテレビで「強制動員されたという一部の慰安婦経験者の証言はあるが、韓国にも日本にも客観的資料は得にくい。」と述べている。どこの国の歴史的現実にも娼婦、公娼宿があって、また戦乱時には村々の女性を凌辱することが大なり小なり行われ、戦後には慰安婦(日本ではパンパンとも言われ)も多数発生するが、そのような現象がなぜ起きるのかを研究すべきではと示唆する。強制によってそうした現象が起こったのか、慰安婦営業者の中にも朝鮮人もいるとの証言も出てくるとなれば、明確に、強制連行の実態や従軍慰安婦という言葉の意味も定義しなおさないとなりません。教授は、日本軍の強制動員した可能性について3年間挺対協とともに調査を行いましたが、慰安婦の本質を把握して、今日の惨めな慰安婦現象を防止しようと調査したが、日本と言い争うためにやっていることがわかったので調査は3年で中止したという。ソウル大学名誉教授の発言に関する内容はディリーサプライズ(韓国語2006/12/6)