手賀沼終末処理場(我孫子・印西市境)で保管中だった1キロ当たり8000ベクレル以下の汚泥焼却灰の搬出を県が18日から、始めたことが分かった。東京電力福島第1原発事故に伴う放射性セシウムに汚染された焼却灰の一時保管問題で錯綜していたが、最終処分する民間業者が見つかったためだという。来年度以降も入札で業者を選んで搬出を継続する方針で、約2500トンまでたまった汚泥焼却灰は今後、徐々に減る見通しとなった。
県によると、汚泥焼却灰は、松戸、柏、我孫子市など7市の下水道から出る汚泥を処理してできたもの。11年9月以降、最終処分されず、処理場内の17のテント倉庫などで約2500トン保管されている。そのうち8000ベクレル超の灰は3棟に550トン、8000ベクレル以下の1950トンは14棟に収容。14棟のほとんどは民間業者が受け入れる2000ベクレル程度といい、3月末までに計400トンを君津市内の民間の最終処分場で処理されることが決まった。来年度以降も新たに発生する分を含め3400トン分を搬出する計画で、今後入札で業者を決めるという。
一方、処分場内には、柏、松戸、流山3市からのごみの焼却で発生した8000ベクレル超の汚染灰の一時保管施設として、汚泥焼却灰の倉庫テントと同じものが建設中だ。県は3月末までに9棟を設置。さらに6棟を来年度約1億5000万円で建設し、最終的には15棟に約2500トンのごみ焼却灰を保管する予定だ。搬入開始から約2カ月が経過した2月15日現在、276トンが保管されている。
汚泥焼却灰について、県は日量4〜5トン発生しており、「すぐに汚泥焼却灰の倉庫テントが空になることはない」(下水道課)としている。ただ、搬出が進めば同じ倉庫テントが空になり、地元からは、代わりにごみ焼却灰の保管用に充てて新たなテント倉庫の建設をやめるよう要望される可能性がある。これについて、県は「14年度末まで一時保管しても下水道の本体事業に影響ないということで、(処分場用地を)借りている。汚泥焼却灰を保管するテントは現時点で空になっているわけではないので、焼却灰を入れることは検討していない」と話しているとの、毎日新聞(2月20日 地方版)に報道があった。
また、県側は「一時保管問題は公益にかかる事項で、さまざまな要素を勘案しなければならない高度の政策判断を要する」ので、「個々の住民である申請人らと調停で合意する対象になじまない」とし、受け入れを中止しない考えを示している。
他方、「ごみ焼却灰の一時保管にかかる連絡調整会議 第1回会合」が18日、千葉市中央区の県自治会館で開かれた。会議には各自治体の担当者が出席。県が焼却灰の放射性物質の濃度、手賀沼終末処理場の敷地境界や周辺地域、灰の運搬車両の空間線量を測定し、結果を月2回、県のホームページ(HP)で公開することを決めた。